開催報告 … 9/19知のホットコーナー 中央支部能力開発推進部主催セミナー

日時:令和6年9月19日

場所:中央支部事務所+オンライン

テーマ:明日から実践できる! 「クライアントのやる気を引き出すためのコンサルタント自身の心の高め方」2024年版

講師:リーダー実践力育成「大垣塾」塾長  大垣雅則氏

 

9月19日の中央支部の能力開発推進部セミナーは、東武鉄道のご出身でリーダー実践力育成「大垣塾」塾を展開されていらっしゃる大垣正則氏を講師にお迎えして行われた。会場は中央支部の事務室でリアルとリモートのハイブリッドで行われた。参加人数は、セミナーの内容に反してやや少なめであったが、講師の話がじっくり聞けるというメリットもあった。

テーマは、「クライアントのやる気を引き出すためのコンサルタント自身の心の高め方」(2024年版)で、「人のやる気を引き出すための具体的な方法」を中心とした内容には、中小企業診断士にとって大変役立つヒントが多数ちりばめられていた。とりわけ実体験に基づいたノウハウは、非常に説得力があり、参考になった。「やる気を引き出す」内容にふさわしく、講師には若々しさが感じられた。大垣塾では、“人をやる気にさせ、人を輝かせる、「真のリーダー」を育てる。”をミッションとしている。

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講義の最初に「どうすれば、自らがやる気になり、クライアントのやる気に火をつけられるのかを学ぶ?」という本日のゴールが示された。「リーダー・指導者の最重要課題は心を積極化する事」である。そのための3つのポイントとして、「1. 真の積極(プラス思考)とは?」と「2. 心を高める実践法とは?」について分かりやすく具体的に説明され、「大垣式  心を高める6つの実践法」として①連想暗示法、②命令・断定暗示法、③感謝ノート、 ④マインドフルネス瞑想、⑤楽しい事リスト、 ⑥消極言葉を使わなくなる方法などについて大垣先生の実体験を踏まえて具体的に説明され、徐々に引き込まれていった。

特に「②命令・断定暗示法」では、寝る前に自己暗示することで気持ちをプラスに向けていくもので、鏡を使って、眠る直前に一回、自分に命令することで苦手意識を払拭していくという方法である。「鏡の暗示法」と言うリンドラーシステムで、達成されるまで言葉は変えないことが原則である。例えば、「お前は信念が強くなる。お前は○○を気にしなくなる。お前は○○が好きになる。」といっては、自己暗示によりプラス思考に変えるもので、非常に興味深いと感じた。

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大垣先生の企業人人生を振り返り、前半の20年と後半の20年に分けて捉えられている。前半45歳くらいまでを「コントローラー型リーダー」として、メンバーのやる気を秒殺し、部下の話を聴かない、任せられない、仕事を一人で抱え込み、家でも仕事に支配されており、神経過敏・腫れ物に触るような性格となるといういわゆる「信頼できない病」に陥っていた。

これまでの花形部門である人事部からグループ企業の葬儀社の所長として配属された時の失望を機に、中村天風氏や稲盛和夫氏などの考え方を学ばれ、その後の20年の人生を大きく変えられた点が素晴らしいと感じた。この思考の転換が、その後のパスモや東京スカイツリーのプロジェクトリーダーとしての功績に繋がったようである。

中村天風氏については、その著書からさまざまなことを学ばれたが、ロサンジェルスドジャースの大谷選手も愛読していたというトピックを使って「積極」の重要性を説明された。ワールドベースボールクラッシックで「今日一日だけは、彼らに憧れるのをやめましょう、なぜなら、我々は勝つためにここに来たのだから!」という発言があったが、これは中村天風氏の「物事にこだわらず、執着しない心が大切」という哲学に基づくもので、選手の理解度の表れといえる。また、稲盛氏の「仕事・人生の結果=能力×熱意× 考え方」という視点では、熱意と考え方の重要性を説かれ、充実した豊かな人生はプラス(積極)思考が不可欠であるという点が印象深かった。

心を高める実践法として、心理学を踏まえたビジネススキルを説明された。「心の積極化(プラス思考)」では、ポジティブシンキングの考え方を取り入れられ、積極志向でポジティブな思考はポジティブな現実を引き寄せる、というものである。「心の安定化」には、マインドフルネスすなわち瞑想法が効果的である。「ストレス耐性」は、逆境や困難・ストレスを乗り越える心の強さや心の抵抗力や復元力を身につけるというものである。アファメーション「言葉の積極化」というスキルは、肯定的な言葉を自分に繰り返し宣言・自己暗示することで、自分の潜在意識が自分はそうであると認識するようになる方法である。そのための実践方法を具体的に示され、理論に売らずけられた実践により、積極性が身につけることができると実感できた。

このセミナーの要である「リーダー・指導者の最重要課題は心を積極化すること!」という点は、リーダーシップに不可欠な構成要素の一つといえる。診断士は、企業のリーダーである経営者を指導する場面が多いと思うが、経営者のリーダーシップのためにも重要であると感じた。

最後に質問の時間があり、実務における活用法などさらに詳しく説明されていた。

東日本大震災の時に、錦糸町の東武ホテルで多くの帰宅困難者をホールに招き入れて毛布やシーツとカレーを振舞ったというエピソードを聞いているが、東武鉄道には、そもそも地域の人を安全に守るという文化とやさしい精神が浸透しているという事が思い出された。