3月18日、中央支部青年部では、完全自社開発のIT企業「株式会社アクシア」の米村歩(よねむらすすむ)社長にご登壇頂きセミナーを開催しました。

 二部構成のセミナーで、第一部では月200~300時間の残業が当たり前だったブラック企業が、どうやって「残業ゼロ」を達成し、「ホワイト企業アワード」を受賞できるまでに変革できたのか、具体的な経験談や苦労話を踏まえてお話頂きました。
 また、第二部ではワークショップとして、テーマをもって少しの時間ディスカッションを行いました。

■ 第一部では、分かりやすく下記の興味深いテーマごとにお話し頂きました。

 ① 残業を減らすと売上は落ちる?」
 2012年9月までは毎日終電毎週休日出勤をしていたが、この月を境目に2012年10月から毎日定時で帰る‘残業ゼロ’に急転換。そのことで9月に対して10月の方が売上27%アップを実現されたようです。しかも業務時間が減った中でのこれだけの売上アップですので、1時間当たりの労働生産性はおよそ2倍強にアップしたというから驚きです。その理由としてとても印象的だったのは、毎日終電で疲れがたまった中での仕事は‘睡眠不足の酔っ払いが仕事をしていたようなもの’という社長のお言葉が印象的でした。
 私自身も提出前等、毎日遅くまでやることがたまにありますがその次の日は午前中はぼうっとしてしまいその分生産性が落ちて夜も遅くなる・・、自分でも効率悪いなあと思いながらも負のスパイラルに陥ってしまった経験を思い出しておりました。

 ② 顧客からの要求を断ると売上は落ちる?」
 結論としては米村社長によると‘売上は落ちないどころかあがる’という事です。
 エン・ジャパンによる残業実態調査でも「顧客の要望に応える」が残業理由No1のようで、株式会社アクシアさんの場合も顧客の理不尽な要求が残業の大きなウエイトを占めていたようです。そのため、必要に迫られて理不尽な要求を断る事にした結果、一部契約を断られることもあったようですが、多くのお客様からは考え方を支持され、よい関係の築けるお客様へ多くの時間を使えることになったため利益も売上も上がったそうです。
 デザイン系の業界にいる自分自身の経験でも、顧客のムリな要望にでも応えていかないと競合他社にも勝てないし、顧客満足度を満たせない・・と思い込んでいたため、目から鱗が落ちました。

 ③ 業務効率化すれば残業は減る?」
 株式会社アクシアさんの体験談としては、効率化してもその分空いた時間に他の仕事をいれたりして残業は減らなかったそうです。残業を減らすには習慣を変える必要があるとの事。具体的には定時になったら社長自ら見回り、残業していないかチェックをして回ったそうです。とても興味深かったのは、定時後にPCで仕事している社員の方の後ろにじ~~と立って仕事を終えて帰宅するまで見ているそうです。そういった地道な策をいろいろ実行しつつも、社員さんの残業をしないという習慣が身に着くのに半年かかったそうです。

 ④ 今働き方改革を行う理由」
 そもそも株式会社アクシアさんは事情により残業ゼロを実現する必要にせまられたことがきっかけだったようですが、世の中的に労働人口が減っている状況の中で社会問題との見方をお示し頂きました。
 また、非常に興味深かったのは労働者のマインド変化が起こっており、労働者が職場を選ぶ理由で今まで上位だった‘賃金が高い’よりも2017年には‘残業が少ない’職場を選ぶ人が上回ったようです。そうした社会情勢の中では、優秀な人を採用するには働き方改革は必須の背景もでてきて、今後そのような傾向が強まってくる見方がされているようです。株式会社アクシアさんも結果的に能力の高い方の採用が増えたようです。

 第二部では参加者が2~3名ずつチームになり、顧問先および自分自身において残業をゼロにするにはどうしていくか、をテーマにディスカッションを行いました。
 第一部の質疑が非常に盛り上がったことでワークショップは短い時間ではありましたが、個人の意識を変えるのはもちろん管理職の意識を変えるのが必要といった意見や、残業しないと他の競合に勝てない、などとの様々な意見がでました。
 講演とワークショップと質疑合わせて2時間という短い時間ではありましたが、非常に中身が濃く、企業のコンサルをさせて頂く診断士の私たちにとっても診断先や自分自身とても考えさせられる貴重な機会を頂きました。
 懇親会でも米村社長や参加者の方といろいろお話もさせて頂き、まず第一歩として自分自身意識して行動をしていこうと決意をあらたにした一日となりました。

中央支部 青年部 白崎智子

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