赤羽 豪

【質問】
 補助金申請書の書き方がいまいちわからないし、自信がないのですが・・・、ポイントはありますか?
【解説】
 直近では、「中小企業・小規模事業ものづくり・商業・サービス革新事業」など、何かと話題であった公募がありました。申請したい補助金事業は、これからもあるでしょう。
 ここで、大前提があります。書かれた申請書は、誰が読んでも伝わるでしょうか?どんなにすばらしい内容であったとしても、審査員に伝わらなければ採択されません。審査員は1日に何十件と審査をしています。読み手の立場になって考えてみると、どうするのがよいと思われますか?
 今回は「伝わりやすい、わかりやすい書き方」について、解説致します。
では、具体的にどうすればいいのか。以下の3つ、注力してみましょう。
1、タイトル、改行、太字、下線をつかえませんか?
 一番避けたいのは、文章を長々と記述することです。申請書は小説ではありません。
 極端に言えば、いかに読ませないで、伝えるか。もしくは、どうやって読ませるかです。
 タイトルをつけて読み手が入りやすいようにし、内容が変わる部分では改行を、重要な伝えたい部分には太字や下線を使ってみましょう。
2、箇条書きにできませんか?
 例をあげます。
 「当社は、開業から溶接業を行っております。その中で溶接で造りこまれている複雑形状部品等について、得意先からその技術力を認められており、短納期要請についても対応しております。また、近年は切削・組立等も行っており、下請けに発注することなく、当社のみで完成品を納品する体制もできております。さて、当社は・・・」

【当社の強み】
(1)得意先から技術力を認められている
(2)短納期要請に対応できている
(3)当社のみで完成品を納品できる一貫した生産体制がある
としたほうが、完結で伝わりやすく、そして、わかりやすいですよね。
3、文字を図や絵にできませんか?
 審査員がその分野について、知識を持ち合わせていない場合があります。
 その場合、専門用語を並べても、理解してもらいにくいですよね。
 そこで図や画像を用いれば、イメージができ、伝わりやすくなると思いませんか?
 以上、3つ、あげさせていただきました。
 難しいことではなく、準備も特に必要なく、すぐ実行できることだと思います。実行前と実行後を見比べてみましょう。伝わりやすい、わかりやすい申請書に変わっていませんか?
 こういう言い方をしては語弊があるかもしれませんが、内容がいくら他社との差別化があり、アクションプランが具体的で、現実的で、新規性があり、・・・であっても、読み手(審査員)に伝わらなければ、採択はされません。
 自分で書いたものについて疑いを持って見ていくというのは、大変難しいです。なぜなら、自分が書いたものについては、自分が一番信用しているからです。不安な場合、私のような中小企業診断士であるとか、業界を知らない第三者などに読んでもらうことも有効でしょう。
 最後にもう一度。
 「読み手の立場になって、書かれていますか?」
■赤羽 豪(あかばね たけし)
中小企業診断士、利酒師、上級ウェブ解析士
東京都中小企業診断士協会中央支部 執行委員