クラウドサービスは、パソコンで使っているソフトなどがパソコンにインストールされているのではなく、雲(クラウド)の中にパソコンやサーバーがあるような感じで、どこにあるか意識せずとも使えるソフトサービスのことです。
 今回は経理業務の改善にクラウド会計ソフトの活用方法をお伝えします。

■経理業務の転換点
 中小企業、特に小規模な会社では経理業務を同じ人が長年担当していることが多く、お金のやり取りも絡むため、大きく業務を変えることなく続けられています。ただ、長い目で見ると経理業務も時代の変化に合わせて変化しています。昔はソロバンで経理の計算をして紙に書いていたのが、パソコンを使ってExcelで入力して計算するように変わっていきました。最近では、スマートフォンを多くの人が持ち、通信回線も安価になったことで、スマートフォンとパソコンの両方で使える様々なクラウドサービスが出てきています。特にクラウド会計ソフトやスマートフォンやパソコンで利用できる経理精算ソフトの登場で経理業務に変化が起きています。

■便利なクラウド会計ソフト
 クラウド会計ソフトで有名なソフトとして「Freee」と「マネーフォワードクラウド会計」があります。両者はマザーズに上場するほど成長しています。また、パソコンの会計ソフトの大手の「弥生会計」や「勘定奉行」もクラウド版を出すなどしています。
 クラウド会計ソフトの特徴としては法令改正があった場合などでも提供会社が使用料金の中で対応してくれたり、データがクラウドの中にあるので消える心配がなかったり、パソコン以外のスマートフォンなどからもアクセスできるなど利便性が上がってきています。

■クラウド会計ソフト活用のポイント
 便利なクラウド会計ソフトですが、その機能を有効に活用するには周辺システムとの連携が重要となります。例えば、銀行取引もオンラインバンキングを導入することで、銀行取引の内容を自動で取得し、毎月継続的な明細であれば自動仕訳の機能で仕分登録までできてしまいます。注意する点は、オンラインバンキングを活用する際にはパスワードの管理方法や決済権限、支払や口座管理のルールを決めておくことです。
 請求書もエクセルなどで管理しているのであれば、クラウド会計ソフトと連携しているものに切り替えれば、売上入力や入金時期に合わせた仕訳入力まで済み会計ソフトに入力する手間を減らすことができます。加えて、経費精算や給与計算も会計ソフトと連携させることができます。
 こうしたクラウド会計ソフトを有効に活用するにはその周辺業務についても、併せて見直すことでバックオフィス業務の無駄を省き業務改善を行うことができます。

■経理業務改善の方法
 クラウド会計サービスを導入するときに経理業務の改善を行うには、自社の経理業務を洗い出して見える化を行います。ポイントはお金の動きと誰がそれに関わっているか、決済の手順はどういうルールになっているかという現状を把握していきます。
 その後、関わっている人を減らせないか、減らせるルールや業務がないか、どうすれば減らすことができるかなど検討を加えていきます。先ほどのクラウド会計ソフトと連携したクラウドサービスを活用することで減らせる業務が見つかるはずです。
 こうした業務改善にも、中小企業診断士等の経営の専門家と相談しながら、自社の状況を把握して、改善点を見つけ、改善策を策定・実施して、その後の改善状況の確認を一緒にしていくことで定着させるなどもいい方法です。
 こうした普段なかなか見直す機会の少ない経理業務について、一度見直してみてはいかがでしょうか。

●略歴
アップスマート株式会社 代表取締役 西村 公志
中小企業診断士 認定経営革新等支援機関
独立系システム会社にて食品・日用品のメーカー・卸売企業向けのPOSデータ分析システムの導入支援等を行い、その後、独立し業務改善コンサルティングやシステムコンサルティングなどを行っている。