専門家コラム「緊急事態宣言が終わるころ、オンライン生活に順応できているか?」(2020年5月)
0.はじめに
4月7日に緊急事態宣言が発令され、外出自粛に在宅勤務と日々の過ごし方が急激に変わっている。
この変化にともなって、人との対面でのコミュニケーションが劇的に減り、オンラインによるコミュニケーションが増加した。
対面からオンライン化への移行は、各企業に大きな変化を促そうとしつつある。
例えば、
・今までの出社前提の業務設計を見直す必要がある
・マネジメントやコミュニケーションの設計を見直す必要がある
・ビジネスモデルの見直しを図る必要がある
などが挙げられる。
新型コロナウイルスが流行する前と後では、ビジネスの進め方が変わってくるため、我々はこの環境変化に対応していく必要がある。
この記事では、
「緊急事態宣言が終わった時に、我々はオンライン生活に順応できているか?」
というテーマで、緊急事態宣言後の姿を想像してまとめていきたいと思う。
1.対面からオンラインに移行するための課題
最初に対面のコミュニケーションの良さについて整理する。
①コミュニケーションのスピードが早い
②相手が理解しているのか、そうでないのか雰囲気が分かる
③対面のため信頼関係が築きやすい
対面の良さを3点挙げたが、これがオンライン前提に移行された時どうだろうか。
①コミュニケーションのスピードが早い
→対面であれば、打合せ日程と場所、資料があれば打合せは成立する。これがオンラインでの打ち合わせになると、どのツールを使ってテレビ会議をするかなど、一定の「ITリテラシー」が求められるようになる。
②相手が理解しているのか、そうでないのか雰囲気が分かる
→対面の場合は同じ空間で、打合せ資料やホワイトボードなど物理的なものを共有できるからこそ、お互いの理解度を合わせやすい。ただ、これがオンライン前提の打合せとなると、オンライン上でどれだけ同じ目線で打合せできるか、がポイントとなる。そのためには、ビジネススキルとして「言語化力」を高めて、打合せ資料などの認識齟齬を減らしていくことが求められる。
③対面のため信頼関係が築きやすい
→オンラインのやり取りが主流になった時、対面の営業方法が通用しなくなる懸念を、多くの人が感じていると思う。取引が始まってからの打合せでは、比較的テレビ会議がしやすい。オンラインでしか会ったことない人に発注を出す、ということが今後起こりうる。そのため、「オンラインでも信頼関係が築けるスキルの習得」が必要となる。
これらのことから、対面からオンラインに移行するための課題は以下3点だと考える。
①ITリテラシーを高める
②言語化力をより磨き上げる
③オンラインでも信頼関係が築けるスキルの習得
2.ITリテラシーを高める
外出自粛や在宅勤務が増えてきているため、SkypeやZoomなどのITツールを使った打合せが徐々に浸透してきていると思う。ただ、これまで対面前提での打合せをしてきた場合は、まずITリテラシーを高める必要がある。
初回の打合せでは、おそらく接続設定など事前確認で、30分〜1時間かかってしまうケースもあるかもしれない。ただ、これが2〜3回繰り返していくと、「意外にオンラインでもやれるね」という声を筆者の周りでよく聞く。
今回の環境変化は、周りが一斉にオンライン化に切り変わる追い風にもなっているため、打合せ打診をする側がITリテラシーを高めることで、結果、相手のITリテラシーが自然に高まっていくと考える。
3.言語化力をより磨き上げる
SkypeやZoomを使ったオンラインの打合せでは、対面の打合せと比較して「時間がかかりやすい」傾向がある。これはITリテラシー不足からの操作の不慣れや、対面で相手の雰囲気を見て、その場で対応できていたものが少なからずできなくなる、からだと考える。
オンラインの打合せでは、言語化力を磨き上げ、どうすれば相手の伝わるかを見直していく必要がある。これはプレゼンなど話すスキルは高いが、書くスキルが低い場合は意識していきたいポイントである。
長期的には「言語化力」を磨き上げる必要があるが、短期的にできることもある。それはオンラインの会議では、お互いの顔を見える状態で進めることだ。電話会議だとお互いの顔が見えずやりづらい、と思っていた人もいると思う。顔が見える状態であれば、対面に近い形で打合せができる。
4. オンラインでも信頼関係が築けるスキルの習得
オンラインの生活が進むにつれ、オンラインでしか会ったことない人と受発注のやり取りをする、ことが起こりうる。オンラインでも信頼関係が築けるスキルの習得は、今後のビジネスの中で大きな強みになると考える。各社、各個人が試行錯誤しながらになると思うが、この環境変化に適応しようとする姿勢が重要となる。
5.まとめ
対面からオンラインに移行するための課題として、以下3点を紹介してきた。
①ITリテラシーを高める
②言語化力をより磨き上げる
③オンラインでも信頼関係が築けるスキルの習得
緊急事態宣言で在宅勤務が増えているなかで、ITリテラシーは着実に高まりつつある。まだまだオンライン生活に順応するためには課題もあるが、第一歩が踏み出せる世の中になりつつあると考える。
この記事を読んで、オンライン生活に順応するためのヒントを得られた人がいたら幸いである。
【略歴】
野見山 真成
中小企業診断士
基幹システム導入(生産販売管理、会計)が専門のシステムエンジニア
東京都中小企業診断士協会 中央支部執行委員
経営、仕事に役立つ記事をnoteで発信中
https://note.com/nomiyama