専門家コラム「Googleアナリティクスを視覚的に確認し、ホームページで成果を出そう!」(2018年4月)
吉野 太佳子
2016年の中小企業白書によると、中小企業2,066社を対象に実施したアンケート調査から、自社ホームページ活用の効果として、「営業力・販売力の強化」52.9%、「売上の拡大」40.4%、「顧客満足度の向上・新規顧客・新市場開拓」37.8%、との結果が明らかになっている。
自社ホームページ、ソーシャルメディアサービス活用の効果
2016年中小企業白書
他方、同年にGoogleが日本全国の中小企業4,230社を対象に実施したアンケート調査によると、ウェブサイトやソーシャルネットワーク(SNS)などのデジタルツールを活用する企業は4割という結果が発表されている。
さらにデジタル活用する中小企業は、デジタル活用していない中小企業に比べ、生産性(1人あたりの売上高)が1.5倍も高いことが明らかになっている。
以上の調査結果から、中小企業がホームページを利活用し、売上拡大を果たしていること、利活用の有無による中小企業間の業績格差が出ていることが確認できる。
改めて言うまでもないのでしょうが、ホームページは作って終わりではなく、作ってからがスタートです。改善活動を実施することで、成果につながっていく類のものです。
今回のコラムでは、ホームページの改善活動に役立つアクセス解析ツール、Googleアナリティクスをご紹介します。
Googleアナリティクスは、数あるアクセス解析ツールの中で利用実績No. 1の無料ツールです。
アクセス解析ツールと聞くと、難しい印象を持つ方もいらっしゃるのかも知れませんが、ここでは、ホームページの「現状の問題点を正しく把握する」という点に絞って、「視覚的に確認する方法」2点をご紹介させていただきます。
ホームページに訪問する人が増えているのに購入者が増えない。あるいは、お問い合わせが思うように増えない、そのような場合に有効な手段です。
Googleアナリティクスの利用について
ここでは、ポイントを絞ってお伝えするため、Googleアナリティクスが導入されていない場合は、以下のページをご確認ください。
◆Googleアナリティクスの導入方法
アナリティクスのスタートガイド
Googleアカウントでログインし、トラッキングコードを取得、全ページに対してトラッキングコードを埋め込むだけで情報収集が開始できます。
Googleアナリティクスでは、4つの分析を主に行います。
・ユーザー
・集客
・行動
・コンバージョン(ゴール目標)
その中で、ホームページのゴール目標となるコンバージョンを確認します。
◆ホームページのゴール目標設定
ホームページを運用する上で、目標設定は欠かせません。
商品・サービスを販売しているホームページの場合は「購入」になりますが、そのほか「申込」「お問い合わせ」「資料請求」などが主な目標となります。
◆目標設定方法(コンバージョン設定)
ホームページ上の目標を決定し、コンバージョンの画面で設定を行います。
例えば、「お問い合わせ」を目標にとした場合、目標設定するページは「お問い合わせ完了」ページです。
サンクスページとも呼ばれますが、ユーザーが問い合わせフォームから入力を行い、送信ボタンを押した後に表示される「完了ページ」のことです。
この「完了ページ」のURLを設定します。※複数設定可
◆分析ステップ1 目標到達プロセス
はじめに、目標が達成されているかどうかという点から確認します。
このページは、コンバージョンページの「目標到達プロセス」から確認できます。
設定した目標に到達するプロセスに沿って、移動するユーザーの経路を視覚的に把握します。
例えば、
「お問い合わせ入力画面」→「確認画面」→「お問い合わせ完了」
これにより、問い合わせ画面から、実際に完了に至った数が確認できます。
※ホームページの構成、目標設定により、取得できる情報は異なります。
目標到達プロセス画面
※サンプルデータ
この画面では、入力画面ではアクセス数451に対し、確認画面では71、お問い合わせ完了では65と、数字が減少していることがわかります。
これは、入力画面に移動した後、入力画面でユーザーが何らかの負担を感じ、このページを離れたと考えられます。
意図的に不要な問い合わせを排除している場合もありますが、そうでない場合は改善の余地があると言えます。
<考えられる問題点の例>
・入力項目が多い
ユーザーの情報が欲しいがあまり、入力項目を増やしすぎると、ユーザーは面倒だと感じてしまう傾向にあります。
・細かな情報を要求
根掘り葉掘り情報を収集しようとすると、ユーザーは「なぜそこまで情報が必要なのか?」と不信感を抱く傾向があります。
<改善方法の例>
→ 入力の手間を省く
取得する情報は必要最小限に項目をしぼること。
住所を取得する場合は、郵便番号入力だけで住所が表示されるように設定すること。
→ 不信感を取り除く
情報を安全に送信できるよう対策を行い顧客に伝える(SSL設定など)
顧客情報の取り扱いなど、セキュリティポリシーを明確にする。
◆分析ステップ2 ゴールフロー
ここでは、ステップ1で確認した「入力画面」までの経路を正確に把握することができます。つまり、「入力画面」のアクセス数が少ない場合に有効です。
このページは、コンバージョンページの「ゴールフロー」から確認できます。
例えば、
「○○_01.html」→「○○_02.html」→お問い合わせ「入力画面」
これにより、問い合わせページに至った経路が確認できます。
※ホームページの構成、目標設定により、取得できる情報は異なります。
ゴールフロー画面
※サンプルデータ
画面から読み取れる情報
ユーザーがどのページから「入力画面」に入っているのか。
経路の途中にユーザーが多数離れて行くステップがあるか。
前のページに引き返すプロセスが発生していないか。
などを確認します。
それにより、「入力画面」へ流れやすいページにアクセス誘導する、といった経路の見直しが図れます。
また、ユーザーが引き返すプロセスが確認できると、ページ間のつながりに問題があるのかもしれません。
そしてそもそも、そうした経路自体が確認できない場合は、全体設計を見直すことも考えなければなりませんが、闇雲に見直しを行うよりは、はるかに有効な手段と言えるでしょう。
以上2点、ホームページを視覚的に確認する方法をご紹介しました。
自社のホームページが現在どのような状況であるのか、まず確認をしてみてください。
■吉野 太佳子
中小企業診断士 上級ウェブ解析士
株式会社アイコンテンツ 代表取締役
株式会社アイクラウド 取締役