<事例>

B社は首都圏地域で療術業を営んでいる。従業員数は約10名。社長は2代目であり、創業者の父親から事業承継している。創業当時から通っている常連客がいるほど施術スキルや接客が好評で、リピーターが多い。

2店舗目の出店を目標にしており、中小企業診断士にアドバイスを求めることにした。

 

<診断>

①従業員数と客数の関係

診断を開始した当時、病気などで従業員が数名離職したところから客数が前月比20%も減少していた。しかし、今まで従業員採用は紹介だったため、新規で採用するための準備を早急に整える必要がある。

②既存客とのコミュニケーション

既存客とのコミュニケーションはLINEを使っているが、メッセージ機能のみを活用している。また、ホームページやSNSを活用しているが、あまり効果を感じられていない状況である。今後は新しい予防コンテンツや自社の情報発信を強化する必要がある。

③新規客獲得に向けたアプローチ

常連客の高齢化が進み年齢とともに離反客が増えている状況である。さらに集客はほとんどが口コミのため新規客数が増えておらず、全体の客数が減少していた。そのため新しいアプローチ方法で新規客を増やす必要がある。

 

<支援>

支援にあたり、中小企業診断士数名のチームで、採用強化に向けて近隣の専門学校へのヒアリングや集客強化に向けて最寄り駅で街頭アンケート実施した。

①求職者目線の採用情報の拡充

求人サイトに載せる情報を求職者目線のものにするべく、近隣の専門学校へ就活生の傾向をヒアリングした。

その結果、「ワークライフバランスを重視」「基本給を重視」「成長できる環境」「職場の雰囲気・人間関係」などの傾向がわかった。特に「成長できる環境」「職場の雰囲気・人間関係」は実際の職場見学を可能にすることで改善できることが分かった。

②LINEの機能活用

LINEリッチメニューを活用して、ホームページやSNS、口コミ情報、電話予約などを表示した。その結果、既存客とのコミュニケーションの際に情報へのアクセスをしやすい環境を作った。

③新規イベントのポスティング

街頭アンケートの結果、「施術スキル」よりも「立地」で店舗を選ぶ割合の方が多いことが分かった。また店舗を選ぶ決め手は「口コミ」が多く、イベントを開催して口コミの誘発を増加させるべく、ポスティングを実施することになった。

 

<実務>

訪問3回に加え、街頭アンケートや専門学校へのヒアリングを実施した。その結果として、求人票の修正やLINEの機能の導入、チラシ作成支援などの提案を元に協議した。実際に施策を実施し、新しい人材の採用ができ、イベントの集客では数名ではあるが新規客を獲得し、LINE機能は継続して活用いただいている。

 

 

  • 略歴

■中村 慎吾(なかむら しんご)
中小企業診断士、上級ウェブ解析士、ファイナンシャル・プランニング技能士2級

一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 執行委員・会員部副部長・青年部副部長

 

大学在学中に起業し29歳で事業譲渡。その後ベンチャー企業の立ち上げに従事し、大手共通ポイント事業者2社で数千万人のデータベースを活用したマーケティングに実施。

中小企業診断士としてマーケティング領域全般や経営の支援、セミナーや研修講師などの業務に従事。地域創業アドバイザー。