業界問わず、チームで協力し合いながら仕事をすることは多いかと思います。

数人の気心知れたチームであればいいかもしれませんが、10人を超えたり、経験の少ない若手社員や社外の人も含まれたりするチームで一つの仕事をこなすことはなかなか難しいものです。
まして、多忙な経営者が一人で取りまとめるのは大変ですよね。

一説によると、一人が直接把握できる人数は5人程度までといわれています。
私は10人を超えるようなチームを一人でまとめることは無理という前提にたった方がいいと思っています。

となると、おのずと必要となるのは、5人程度をまとめるリーダー(以下現場リーダー)です。
この現場リーダーが強いチーム作りの要になります。

今回はこの現場リーダーの役割、育成方法等についてお話したいと思います。

経営者や管理者が望む現場リーダーの役割は大きく分類して
①自分の代理、②現場の統制
この2点だと思います。

①自分の代理
・経営者や管理者の視点で仕事をとらえ、想いを代弁してくれる

②現場の統制
・現場のQCD管理
・困難にぶつかっても、どうにかして目的を達成しようとする
・時にはプレーヤー

では、そんな現場リーダーとしてアサインされる社員とはどういった社員でしょうか?
業界にもよりますが、以下のような社員ではないでしょうか?

・入社5年~10年
・現場の仕事はできる(プレーヤーとして優秀)

そして、そのような社員が抱えがちの問題として

・仕事をこなす面白さは一巡し、仕事に対する意欲が低下しつつある
・あくまでプレーヤー、仕事の目的までは考えない

上記の「経営者や管理者の期待」と比較して
大きなギャップがあることが分かります。

このギャップを埋めるために、経営者や管理者からのフォローが重要になってきます。
全部丸投げしていたのでは、へそを曲げたり、最悪の場合つぶれてしまいます。

ではどういったフォローが必要でしょうか?
私は以下の2点だと考えています。

1.対話
2.経営者や管理者による状況モニタリング

ではそれぞれ詳細に見ていきましょう。

1.対話

できる限り言語化して伝えることが重要です。
時には自分で考えさせることも重要ですが
「リーダーとしてうまくやって」はいくらなんでもNGです。

具体的には
・考え方を伝える
 -リーダーの役割に対する考え方
  チームの成果を最大化すること
  「自分がやった方が早い」はNGワード
 
 -仕事に対する考え方
  当事者意識をもち、困難な場合でも創意工夫してやり切ろうとする。
 「いわれた通りやった」はNG。ゴールは作業ではなく、仕事である。
 
・期待していることを伝える
 先にも述べた①経営者、管理者の代理②現場の統制など、期待している内容を具体的に伝える

・本人の納得感を醸成する
 この仕事が本人の何につながるのか?
 そして、本人の仕事に対する志向を聞く。
 重要なのは本人の期待感、納得感

2.経営者や管理者による状況のモニタリング

・チーム内のパス回し
 管理ルールは作られているか?(成り行き管理になっていないか)
 チーム内の定期的な共有の場はあるか?
 普段会話があるか?飲み会はあるか?

・リーダー本人の状況
 プレーヤーになりすぎていないか?
 
・人員の過不足
 絶対的に人員が不足しているのか?やり方が悪いから逼迫しているのか?
 ここは経営者や管理者が目を光らせる必要がある。
 後者の場合でも、現場リーダー本人は、人が少ないと思いこんでいる場合も多いのでフォローが必要

チームは生ものですのでこうすれば大丈夫という正解はありませんが、非常に重要な切り口ですのでご参考にしていただければ幸いです。

■小石 悟史(こいし さとし)
中小企業診断士
東京都中小企業診断士協会 中央支部執行委員 青年部副部長 ビジネス創造部部員