グローバル・ウインド 国際消費者機構(CI)について(2012年11月)
Global Wind (グローバル・ウインド)
国際消費者機構(CI)について
国際消費者機構(CI)をお聞きになったことはあるでしょうか。世界には多くの消費者団体がありますが、それを取りまとめるグローバルな消費者団体が国際消費者機構(CI)です。私は近年、消費者関連業務との関わりがあるので、この分野についてお話したいと思います。また、私達は通常の企業側の視点で物事を見ている傾向が強いと思いますが、消費者側からの視点で見ると、同じものがまったく別の見え方をしてくるようにも感じています。その面で少しでもご参考になれば幸いです。
皆様、海外出張の時に、各国の電源ケーブルの形状や電圧が違っていたりして、面倒と感じられないでしょうか。また、パソコン、携帯電話や電子機器等のアダプタの形状が違っているために、多くのケーブル、アダプタのお供を連れての旅行となり体力を消耗されていないでしょうか。やっと出張先に到着した夜に電源ケーブルを忘れたと気付いたときは最悪です。どうして、各国や各メーカーで統一化、標準化してくれないかと思うわけです。そのように、消費者の立場に立つと「標準化」された製品がたいへん都合が良いわけですが、ご承知の通り、各国の事情も違いますし、企業の立場では「差別化戦略」、「キャプティブ戦略」等々の理由により、標準化が難しい理由もあるわけです。
と言うことで、実は、消費者問題と標準化はたいへん深い関係があります。良い標準を規定することができれば、消費者は安全で有益な商品やサービスを安価に手に入れることが出来るからです。その為、ISO(国際標準化機構)/COPOLCO(消費者政策委員会)では、消費者参加WG、製品安全WG、グローバル市場における消費者保護WG等において色々な標準化が検討されています。それでは、国際消費者機構(CI)について、その活動概要をご説明します。
国際消費者機構(CI)は、消費者のための独立した権威あるグローバルな声明を出す唯一の消費者団体の世界的連合体です。1960年4月1日に設立され、現在、世界115カ国に220を超える会員組織と消費者を保護する強力な国際的な動きを構築し続けており、イギリスのロンドンに拠点を置いています。
国際消費者機構(CI)は、次の8項目を「消費者の権利」として提唱しています。これは、ケネディ大統領が「消費者の利益の保護に関する連邦議会への特別教書」において提示した4項目の「消費者の権利」(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)がもととなっています。
●生活のニーズが保証される権利
●安全への権利
●情報を与えられる権利
●選択をする権利
●意見を聴かれる権利
●補償を受ける権利
●消費者教育を受ける権利
●健全な環境の中で働き生活する権利
1962年3月15日のケネディ大統領のスピーチ
また、国際消費者機構(CI)は、消費者権利のための運動について、企業に責任を持たせ消費者保護の原則を脅かす無視または侵害されたふるまいに対する世界的な監視機関として機能しています。具体的には、消費者の権利と責任の意識を高める一方で、政府の政策と企業行動の真の変化を達成しようとする事を目的に、次のような国際消費者機構(CI)のキャンペーンを実施しています。
●ジャンクフード・ジェネレーション
子供達への不健康な食品の販売に対し、反対するキャンペーンや出版を行っています。ジャンクフードの動物実験を通じてそのリスクを公表したり、子供達向けの食品や非アルコール飲料のマーケティングに関する国際規準を設けています。
●マーケティング過剰摂取
薬物の非倫理的な推進に対し、反対するキャンペーンや出版を行っています。
●知識へのアクセス(A2K)
知識へのアクセス(A2K)に関するグローバルな消費者へのコミュニケーション活動や出版を行っています。(「知識へのアクセス」のガイドブック他)
A2K(知識へのアクセス)における知的財産及びコミュニケーションの権利に関わる国内外の議論は、消費者の利益が十分に表現されていることを保証する事を目的としています。これは、公共財の創出の促進や、公共領域の強化、および、国際間および二国間貿易協定の知的財産の管理のための公正なシステムを助成するものです。
●金融危機 – 消費者金融のソリューションを修正へ
世界的な金融•経済危機への戦略的対応への議論のため、消費者政策に関するOECD委員会へ意見書を提出したり、国際通貨•金融システムの改革を国連総会に提出しています。
●企業の社会的責任や基準
国際消費者機構(CI)は、また、年間を通して国際標準化機構(ISO)の多くの委員会で、消費者を代表して参加しています。ISO26000 社会的責任規格へも取り組んでいます。
●実際の契約
持続可能な消費に関する国際消費者機構(CI)での進行中の作業の一環として、企業や政府による非倫理的かつ持続不可能な行動を強調し公にする活動を行っています。国際ホテルチェーンの料金精算の仕組み、西アフリカの電子廃棄物、携帯電話の隠れたコスト等の問題を扱っています。
より詳細な情報は下記の国際消費者機構(CI)のホームページをご参照願います。
http://www.consumersinternational.org/