国際部 水口淳一郎

先日、2024年夏パリオリンピックが終わり、次の開催都市である2028年ロサンゼルスにオリンピックの旗が引き継がれました。その次の2032年のオリンピック開催地は、オーストラリアのブリスベンが選ばれています。この夏(2024年8月)にちょうどブリスベンに行く機会がありましたので、ブリスベンの魅力の一端をご紹介します。

image001

クイーンズランド州の州都・ブリスベン

1.地理的位置と特徴

ブリスベンは、オーストラリア東海岸に位置しており、シドニー、メルボルンに続くオーストラリア第三の都市と言われています。シドニーから北へ約900km、メルボルンから北東へ約1,700kmの距離にあります。オーストラリアのクイーンズランド州の州都で、人口約250万人の都市です。日本からブリスベンへは、直行便で約9時間から10時間ほど。経度の差は約15度で、東京との時差は1時間です。

 

image002

出典:外務省「オーストラリア連邦」 一部加筆

2.気候と過ごしやすさ

ブリスベンの気候は、亜熱帯性気候で、年間を通じて温暖です。7月から9月は冬場にあたり8月真冬となりますが、日本のように寒くはなく、朝は8℃くらいと少し肌寒いですが、昼は20~24℃くらいまでと過ごすには快適です。

3.生活コストとキャッシュレス決済の普及

ブリスベンの生活コストは、シドニーに比べてやや低いものの、日本と比べるとやや高めくらいです。(訪問時の2024年8月現在)1オーストラリア・ドルが100円ほどだったのですが、地元にあるラーメン店が、16~20オーストラリア・ドルでしたので、日本の1.5倍から2倍くらい高い値段でした。
ブリスベンに来て、驚いたのは電子決済がほぼすべてということ、現金を使うことはなかったです。レストラン、スーパーマーケットだけでなく、街中の小さな店舗でもキャッシュレス決済を推奨。中には現金が使えないお店もありました。

4.自然と都市が調和するブリスベン

ブリスベンの魅力の一つは、州都という都市にいながらにして、自然が豊富で見事に調和している点でしょうか。街中には、緑豊かな公園が市内に点在しているので、散歩をするのに最適です。また、ブリスベンのリバーサイド沿いにも公園が多く、また、ブリスベンの中心から徒歩圏内には「ブリスベン植物園」などもあり、都市にいながらにして、自然を身近に感じることができるほっと一息つける空間です。

image004image003

ブリスベン植物園

5.ブリスベンの交通と川沿いの風景

ブリスベン川が市内を流れ、その沿岸には美しい風景が広がっています。この川を利用した無料のフェリー「City Hopper」は、便利な交通手段で、30分に1本くらいきます。川沿いの景色を楽しみながら市内を移動できます。
image005

無料のフェリー「City Hopper」

対岸にいくときに、橋を渡らずにフェリーを使う方もいて、著者も地元で有名なパン屋さんに行くために対岸までフェリーを利用しました。ほんの少しの時間でしたが、移動時間をリラックスした時間に変えることができました。

6.ブリスベンのおすすめスポット

ブリスベンのおすすめスポットはたくさんありますが、その中でも特におすすめの場所をいくつかご紹介します。

(1)ブリスベン川のリバーサイド

最もおすすめしたいです。公園だけでなく、カフェやおしゃれな飲食店も立ち並んでおり、川沿いを散歩して自然を感じながら、カフェで憩いの時間を楽しむのがおすすめです。また、公園にはベンチも多いので、地元のパン屋さんで買ってきたクロワッサンを公園のベンチに座って食べるのも良いですね。Christian Jacquesのお店は、本格的なクロワッサンのお店で、朝から並んで買いました。クロワッサン好きで、並ぶのに抵抗がない方は訪れる価値ありです。

また、リバーサイドから程近い、市内中心部にある人工のビーチ「ストリーツ・ビーチ」もおすすめです。子どもだけでなく大人も楽しんでいるのが印象的で、まさに都会のオアシスといったところでしょうか。ブリスベン川を挟んで高層ビルが立ち並んでいる場所にあって、不思議な憩いの場になっています。無料で誰でも入ることができます。

 

image006

ストリーツ・ビーチ

(2)ウエストエンド・マーケット

週末に行く場合には「ウエストエンド・マーケット」がおすすめです。
ブリスベンでは、週末にいろんなところでマーケットが開催されているようですが、ここは新鮮な地元の食材(果物、野菜、はちみつなど)のほか、ブリスベンの地元で愛されるノンアルコールの「ジンジャービア」なども扱っている比較的大きいマーケットです。他の国の料理も楽しめて、さまざまな活気あるお店が立ち並び、その場で買って食べたりできます。オーストラリアの工芸品なども手に入り、地元の文化に触れる機会としても最適です。

image007

image008 image009

しょうがが効いたノンアルコールの「ジンジャービア」

(3)歴史と文化を深く感じさせる魅力的な建物

さまざまな写真スポットがありますが、ゴシック様式の壮麗な「セントジョンズ大聖堂」や、戦没者を追悼する厳粛な「アンザックスクエア」などです。

セントジョンズ大聖堂は、その壮麗なゴシック様式の建築でひときわ目を引きます。大聖堂の外観は、尖塔やアーチ、精巧な彫刻が美しく調和し、歴史と威厳を感じさせます。内部に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、色とりどりの光を放つ美しいステンドグラスです。これらのステンドグラスは、聖書の物語や歴史的な出来事を描いたもので、訪れる人々を静寂で神聖な世界へと誘います。大聖堂の内部は、まさに静寂でした。自分自身を見つめ、心を落ち着けるのに最適な場所です。また、建物全体が持つ荘厳な雰囲気は、歴史の重みを感じさせ、訪れる者に深い感動を与えてくれます。
アンザックスクエアは、ブリスベンの中心部に位置する、戦没者を追悼するために設けられた広場です。広場の中央には記念碑がそびえ立ち、その周囲には彫刻や碑文が配置され、訪れる人々に過去の悲劇と平和への思いを呼び起こします。スクエアを囲む木々と緑が、訪れる者に安らぎを与え、忙しい都市の喧騒から一時的に解放される空間を提供してくれます。

 

image010

アンザックスクエアの記念碑

ブリスベンに滞在したのはわずか3日間でしたが、ブリスベンは自然が融合してリラックスして過ごせる憩いの都市でした。2032年オリンピックに向けて、インフラなどの工事が進んでいますが、どのような都市になるのでしょうか。ブリスベンから目が離せません。

image011

■水口 淳一郎(みなぐち じゅんいちろう)

2016年中小企業診断士登録。大手鉄道系システム会社に25年在職後、2021年独立。現在は、創業・スタートアップ企業を中心に、製造業、サービス業、卸売業、小売業をご支援。「これからの診断士の国際化を考える」(『企業診断ニュース』2017/2月号)(同友館 共著)
———————————————-
記事のコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。情報が古くなっていることもございます。記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。