国際部 望月 優樹

0.はじめに
 誠に僭越ながら、
1. 2018年6月「香港のとある日曜の風景から見えた『フィリピン』について」
https://www.rmc-chuo.jp/globalwind/2018061002.html
2. 2020年3月「香港駐在員生活6年目(香港デモ、新型コロナウイルス、アジアビジネス、続・とある日曜の風景から見えた『フィリピン』について)」
https://www.rmc-chuo.jp/globalwind/2020031302.html
 というタイトルで以前グローバル・ウインドを二つ書かせていただきました。

 以来、引続き香港をベースとする駐在会社社員であり、東南アジアの顧客を担当する営業マンとして、公私ともに状況は劇的に変わり続けたままですが、言葉が適切でないかもしれませんが、どこかいわゆる“コロナ慣れ”したというか、また香港は直近ですと1日あたりの新規感染者数が二桁前後と、注意する必要は引き続きあるものの、日本や欧米のそれと比べますと、比較的安全な環境にいるからかもしれません。

 そろそろ帰国かなと思いますが、現在駐在生活も7年目になろうとしています。特に2019年からは香港民主化運動、そして今でも問題となっている新型コロナウイルスによって公私ともにおける大変化により、大変な日々が続きました。ですが、一部報道や私が所属する金融マーケットにおいては、2021年は“Year of Recovery“と言われております。今回、幸運にもグローバル・ウインドを再び書かせて頂くこととなりました。そこで、お読みいただく皆様の、何かのきっかけであったり、関心の一助となればと思いまして、復活のキーワード=ワクチンをテーマに、2021年(令和4年)4月現在、海外駐在員としての経験を共有させて頂ければと思いました。最後までお読み頂けましたら、幸いです。

1.香港の感染状況
 2021年4月初旬現在、香港でいうところの第4波(2020年12月から)が2月一杯で収まってから、大体一日当たりの新規感染者数は二桁前後と低位安定しております。人口比較で単純なことは言えませんが、香港での規制は日本のそれと違ってかなり厳しいもので、それも低位安定している一つの理由として考えられます。
 例えば、一部マンションや特定地区の部分的なロックダウンを実施しております。ロックダウンといっても、感染者がみつかった該当地域(例えばマンション群などのコンソーシアムや、広範囲に町内全体などの局地的な地域)の住民に対して、ウイルス検査を義務付け、結果判明まで自宅待機を指示するもので、ある意味感染拡大を予防する観点、および人権等に配慮する観点の双方のバランスがとれた絶妙かつ効果的な政策を実施しております。こういったことから、香港居住者として、厳しさも感じながらも、同時に安心感をも感じることが出来ております。

2.ワクチン
 もう一つの安心材料としては、香港政府によるワクチン政策が挙げられます。香港では、今年の2月26日からワクチン接種プログラムが開始されました。まずは、優先接種グループが対象者でしたが、3月16日より対象者が拡大され、30歳から59歳の者(<私はこちらに該当)や所謂ヘルパーさんなども感染予防の拡大から年齢を問わず対象となりました。3月24日には一部mRNAワクチンがその保管方法に不備があったとして一時接種が停止されるといったことがありましたが、それ以外は概ね問題なく行われおります。また、4月23日からは16歳以上の全員へ対象が拡大される予定です。

 ただ開始されたばかりで一部報道によると、4月11日現在、ワクチンを一回以上接種した人の割合は約7.7%、必要回数以上は約3.4%となっており、まだまだ欧米のそれによるとスロースタートになっているようではあります。

3.ワクチン予約
 というのも、香港政府によるワクチン・プログラムでは、1.中国Sinovac Biotech社製と2.mRNA ワクチン所謂ドイツのBioNTech製の二つがあります。とりわけ後者はファイザー社製のものと変わりないようですが、まだまだワクチンへの副反応や抵抗感があるのか、特に高齢者層において上手く接種が進んでいないようです。ですので、先般の一連の対象年齢拡大もそれが理由だといわれております。ですが、びっくりするほど実際の手続きは簡単です。私も近くで感染者が出た事もあり、このプログラムに参加してみることにしました。そちらをご紹介できたらと思います。
 まずは日本領事館からもこんなメールが来てましたので、ここから香港政府ワクチンサイトへ
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https://www.covidvaccine.gov.hk/en/

 すると、以下のようなページに飛びます。日本語はありませんが、英語があって安心です。加えて、香港の屋台骨ヘルパーさんが多いインドネシアおよびフィリピン版(タガログ語)もあり色々な言語で用意されております。デモの件から香港はいろいろといわれておりますが、まだまだ国際金融都市として立派ですね、なんて感じております。
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予約は本当に簡単でした。左上の赤い“Book Vaccination”をクリックして、まずはどちらのワクチンかを選択することができます。
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 あとは、副作用などの注意書きを読んで、香港ID番号や個人情報を少しいれて、一回目と二回目の接種日程、場所を選ぶだけでした。

 全部で5分もかからなかったです。これ、日本でやると。。。どうでしょうか。

4.ワクチン接種
 予約は金曜の朝10時。副作用があるということで、金曜や土曜に受けるのがいいという同僚のアドバイスで休みをとって金曜にしました。会場は、家の近所の所謂公のスポーツセンター的なところ。家から歩いて5分程度でしょうか。スポーツセンターといっても、そこは土地が恐ろしく高い香港ですので、ビルの中にあります。
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 緑の人が入り口に見えると思いますが、そちらの方々がワクチン会場のスタッフの方々です。予約をした際に携帯に予約確認のSMSが届くのですが、それを見せて会場へ。
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 金曜が一番多いと聞いてましたが、先客は一名のみ。すぐに受付に呼ばれました。会場は体育館みたいなところです。
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 受付では、予約のSMSと香港IDを見せ確認作業をしたのちに、上記の資料を渡されて副作用などなど注意事項を説明、サインをしたら終了。少し待機場所で待ちましたが、すぐに呼ばれました。
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 こんな感じで、体育館中の隅側に間切りされた個室がいくつも容易されていて、その中でワクチン接種を受けます。

 やってきたのは金髪の20代の兄ちゃんでした。大丈夫か?と思いましたが、話してみると笑顔で雰囲気の良い人でした。再度注意事項など説明及び本人確認が行われた後、聞き手の確認をされ腕まくりをしたところ、日本人ですか?など雑談をされている途中にさらっと接種完了。注射するときに雑談をしながらとかマニュアルがあるんでしょうか。意識が他にいっていたのと一瞬だったので痛みも何も感じないままでした。

5.接種後
 ワクチン注射後は、上記写真にある用意された椅子に座って、15分待機するように指示されました。何か副作用がおきるんではないか、とドキドキしてましたが、何もなく無事終了しました。ちなみに帰りの出口付近でマスクのプレゼントがありました。
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 会場について、全部で約30分程度だったと思います。接種後の15分の待機がふくまれておりますので、本当にあっというまでした。香港政府は色々といわれてますが、スムーズなワクチン接種、プレゼントまで、個人的には香港住民のためによくやっているなと思いましたし、スタッフの方々も役人役人してなくてみんないい人でした。
 そして、ワクチン接種後は何かあってはならないと家で待機してましたが、2~3時間しても、筋肉注射ということもあり注射を打った肩がすこし痛いくらいで、何も起こりそうになさそうな雰囲気だったのと、休みをとっていたこともあり、少し心配もありましたが、そのままジムに出かけました。肩のトレーニングもしたので、今は注射でいたいのか、筋肉痛でいたいのかよくわからないほど特に何もなかったです。
 ワクチンは二回打たなくてはいけなくて、二回目は五月の上旬に予定しております。周りの話を聞くと二回目が副作用のリスクが高いという事ですが、一回目は、私は何も問題なかったです。副作用があってと色入とワクチンの接種是非は議論がありますが、私は個人的には、そのメリットを考えると、打ってよかったと思います。ただ、その判断は二回目の接種を終えてするべきかもしれませんが。

6.最後に
 今回、海外駐在員の日記のような形になり大変恐縮しております。グローバル・ウインドのテーマとして適切かどうか悩んだものの、今後日本でも行われることかと考えまして、また日本以外の海外にてどのようなワクチン・プログラムが行われていることは、何かの参考になれるのではないかと思いまして、誠に僭越ながら本記事を書かせて頂きました。
 ここまで最後までお読みいただいた方々は少しでも興味をいただいたということかと思いますが、本記事が皆様方の何かのきっかけであったり、関心の一助となったことを祈りつつ、最後までお読みいただきましてこと感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

 

■望月 優樹(もちづき ゆうき)
東京都出身、1983年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、証券会社に入社。以後一貫して、外国顧客向け債券資本市場による資金調達業務に従事。現在は営業員として、香港を拠点に東南アジア顧客を担当。中小企業診断士試験の受験開始は学生時代、紆余曲折あり苦節10年?の末、やっとの思いで2014年度合格。2015年登録。現在、活動休止中。

東京都中小企業診断士協会中央支部 国際部 所属
香港中小企業診断士の会 所属