グローバル・ウインド「台湾のつれづれなるままに」(2021年4月)
国際部 中川 聖明
【はじめに】
昨年より、台湾資本の製薬会社で仕事をすることになり、台湾という国を身近に感じること機会が多くなりました。一方で新型コロナウィルスが流行している関係もあり、海外と向き合う活動はほとんどなくなりました。そんな状況ですので、海外については話題がほとんどありません。最近少し台湾語を学び始めました。中国語とは異なった印象を感じるようになりましたので、台湾に関係した内容歴史、言葉等を思う範囲で記載してみたいと思います。
【台湾について】
台湾は、東アジアに位置する台湾島を中心に定義される幾つかの地域としての名称です。
中華民国とかチャイニーズタイペイとか言われています。東京からの飛行時間は約4時間強で時差も1時間遅れの差です。移動時間が短いわりに異国情緒がすぐ味わえる外国の一つだと思います。
【台湾の歴史】
台湾の歴史をみてみましょう。大きく分けて以下の時代に区分されます。概して中国系なのですがいろいろな文化が入り混じっていることがわかります。
先史及び原住民時代 (1624年以前)
オランダ統治時代(1624年 – 1662年)
鄭氏政権時代 (1662年 – 1683年)
清朝統治時代 (1683年 – 1895年)
日本統治時代 (1895年 – 1945年)
中華民国統治時代(1945年 – 現在)
南京国民政府(1945年 – 1948年)
中華民国政府(1949年 – 1996年)
総統民選期 (1996年 – 現在)
最近までの状況は、1945年には当時台湾を統治していた大日本帝国が第二次世界大戦において無条件降伏したことを受け中華民国の施政下におかれました。
1950年になると党国体制を採る中国国民党が国共内戦敗北で中華民国が中国大陸と海南島の国土を喪失したため、台湾は中国大陸から移転した台湾国民政府の所在地となり、それ以降も中華民国が実効支配する台湾地域99%以上を占めます、台湾」の表記は中華民国の通称または台澎金馬全体の名称としても使用されています1996年に至るまで国民党政府の独裁といわれた政府が継続します。
1990年代前半の李登輝総統時代に本格化した中華民国の民主化の結果、外省人(1945年以降台湾に移り住んだ人)に対する本省人(1945年以前に台湾に移り住んだ人)の政治的地位が向上したこともあり、台湾では自らを「台湾人」と認識する「台湾人意識が高まりました。
台湾人意識とそれに伴う「本土化」という中華民国を台湾の政権と位置づける考え方により、2000年の総統選挙では「台湾人意識」を強調した陳水扁元台北市長が当選し、本土化が進みました。更に李登輝前総統らが中心となり推進された台湾正名運動及び台湾独立運動の活性化もこの時期だそうです。その後、陳水扁 馬英九 と総統は後退し、女性総統である蔡英文が就任し現在に至っています。複雑な歴史を辿って現代にいたっていることがわかります。
自分が初めて台湾に初めて行ったのはもう30年前(1991年)になります。その時は印象的だったのは戒厳令だったようで、台湾のそごう百貨店のデパートの屋上は保安上の理由から閉鎖されていました。一方で最上階フロアは月賦販売で家電製品が販売されていてのどかだったです。ちょうどその時点で10年前の日本を見ているようでした。免税店よりそごうの方がお土産は安くて得した気分でした。
【中国語の種類】
台湾で使用される言語について触れます。やはり主に中国語ですが、中国語自体はたくさんの方言があり、「北京語」「上海語」「広東語」に分けられます。
字体については「簡体字」(かんたいじ)と「繁体字」(はんたいじ)があります。
「簡体字」は中国大陸で使用され「繁体字」は台湾や香港・マカオで使用されているそうです。名前のとおり「繁体字」は画数が多く,「簡体字」は画数が少ないのが特徴です。「簡体字」だと初めて見た時に意味が全く想像できないこともありますが,「繁体字」は意味が分かることも多いとのことです。
【ピンイン発音記号】
ピンインとは,中国語の発音をローマ字で表したもので,初めて中国語を学ぶ外国人にも分かりやすくなっています。中国人もパソコンや携帯電話で文字を打つときはこのピンインを使うようですが、微妙に英語の読み方と異なる音声がありますので正確に使うには頭の切り替えが必要です。
イントネーションも4種類の声調、第一声(陰平)第二声(陽平)第三声(上声)第四声(去声)があります。それはそれで難しいのですが。正確に発しないと意味が変わるのでさらに難儀になります。しかしながら、日本語の読み方に比べるとそれでも数が少ないので覚えやすいと言えます。中国語の漢字の読み方は中国語の半分以上の漢字は一字に対して発音が一つです。ずっとそうだと思っていましたが、実は二つ以上発音のある漢字もあります。
以下は複数の読み方がある例です。
【ボポモフォ「ㄅㄆㄇㄈ」】
さて、発音記号のピンインについて記載しましたが、台湾語は,このピンインは日常的に使わずに「注音符号」と呼ばれるものを使うそうです。台湾人に「注音符号」といってもあまり伝わらないことも多く,先頭の4文字から台湾では「ボポモフォ」と呼ばれます。
記号は以下のように全部で37種類あり母音と子音を組み合わせて発音します。
ハングルのように子音と母音の組み合わせで、文字ができているわけでなく、あくまで発音の記号なので、50の手習いで始めた自分にとっては覚えるのが大変難しいので、わかりやすいピンインで学習をしています。
【台湾語と中国語の表現】
便宜的に中国大陸で使われる言葉を中国語、台湾で使われる言葉を台湾語として区別して表にしますが、同じ物でも違いがあります。以下の表にしました。
以前中国語はすべての漢字に読み替えるのかと思いましたが、台湾語ではローマ字も使用されると聞きました。また、巻き舌音が台湾に少ないとか、声調(音の高低)が違とかも違いとしてあるようです。
【遠い昔の台湾の思い出】
昨今の新型コロナウィルスの流行で自分も海外への渡航はほとんどなくなりましたが、以前訪れた観光地で有名な場所を3か所ほどあげます。たしか5年位前の家族旅行でしたので、お出しできない写真ばかりなのですが、今でもいい思い出が頭を巡ってきます。家族とは向き合うことも大切ですが、やはり同じ方向を見ていい物、珍しい物を共有するのがいいです。ここでは写真を上げて、故宮博物館にも足を運びました。やはり、北京の故宮と比べればお宝の宝庫。有名なきりぎりすのとまる白菜「翠玉白菜」や、親子三代100年で制作した象牙細工「多層象牙球」も興味深いのですが、特に面白いのはミュージアムショップでした。収蔵品のレプリカや意匠をいかしたハンカチやカバンが売っていたのですが、元の資料がいいのでコピーでもとても味わいがある深いお土産が多かったと記憶しています。故宮博物館には一生の内一度はいくべき場所でしょう。ただそれにしても広いので、3か月に一度展示替えがあるみたいですが、1日ではとても回り切れません。
【台北101】
台北101は、台北市信義区にある超高層ビルです。地上101階建で名前はこれに由来しています。高さは509.2mあり、台湾の著名な建築家である李祖原が設計し、施工は熊谷組を中心としたJVが担当しています。2007年7月にブルジュ・ハリーファに抜かれるまで、完成建築物としては世界一高いビルでした。
以前、新年に花火をビルから打ち出していて壮観だったようですが、今は行っていないようです。形はなかなか魅力的な建物で下層階に屋根が高いショッピングモールがあり開放的な空間になってました。
宿泊したホテルから徒歩圏だったので何回か周囲を散歩しまして、不思議なブランド‘極度感想(しなさい)’の財布を購入しました。
【九份】
九份は、台湾北部の港町基隆市の近郊、新北市瑞芳区に位置する山あいの町です。以前は金鉱の町でした。とても急峻な道を上がったところにあります。
『千と千尋の神隠し』のモデルになったという 噂もあり、日本の観光客への知名度が高まりましたが違うようです。こちらは反対側のレストランの階段から撮影したものですが、その食堂を利用しないと写真を撮らせてくれません。
この位置から広角レンズで撮影すると市中も出ている写真になるようですが、スマホではこんな感じです。また目につく店もありました。
【台湾の夜市】
台湾は夜市が有名です。飲食系、衣料系の店舗が軒を連ねています。治安はいいので、熱い昼をさけて夜活動する方が多いのでしょう。場所は記憶がありませんが、奇抜なデザインの帽子が売られていて、息子が夢中になりました。意味が分からないアルファベットが入った防止を買ったようです。いろいろ立ち食いできるものもありましたが、豚系の食材は少しにおいがきついので、私にあまり食べたいと思いませんでした。
【最後に】
台湾には魅力的な場所がたくさんありますが、やはり気温が高かったという思い出が強いです。春先だったのですが、マンゴーアイスがとてもありがたかったと思います。治安は最高で人当たりもいいので、アジアでもダントツに行きやすい国だと思います。SARSに学び、新型コロナに強かった国台湾、また出かけてみたいものです。
中小企業診断士 中川 聖明
東京都中小企業診断士協会・中央支部会員、国際部部員。医薬品、医療機器メーカーで四半世紀人事部長を始めとした人事関連業務に4半期にわたり就労。昨年ストローム経営管理事務所を開設し、中小企業の人事労務コンサルを中心に活動中。