グローバル・ウインド「海外のSNS事情」(2019年10月)
グローバル・ウインド
中央支部・国際部 宮川公一
長男が、今年の夏、短期語学留学で米国に滞在していました。友人の家にホームステイさせていただいたので、友人家族とも連絡を取り合うことになりました。最初は、メールでのやり取りでしたが、米国では、Whatsapp というSNSアプリを使用しているということで、Whatsappを使用することになりました。メールではレスポンスが遅く感じられたこともあったのですが、WhatsAppはレスポンスが早いなと感じたこともありました。よく見ているということなのでしょう。
日本では、主にネットでのコミュニケーションではLINEを使用しているし、Facebookのメッセンジャーなども使うのですが、国が違うと、主流のSNSアプリも変わるのに興味が沸いてきました。今回は、SNSの国別動向について書いてみます。
因みに、韓国の友人とやり取りするときは、カカオトークを使用しています。
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(インド及びオーストラリアの調査結果)
資料から以下のことが読み取れます。
〇 Facebookは他国で利用率が高く、各世代とも日本を上回っており、日本で感じる以上に影響力があると考えられます。
〇最近は、 インスタグラムが台頭し、ツイッターと肩を並べてきました。
〇WhatsAppは海外で強く、特に欧米ではスタンダードになっていきています。
〇 検索エンジンはほぼGoogleですが、中国、韓国、日本には別の特徴があります。中国はBaidu 、韓国はNaver、日本はYahooが強いです。
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(インド及びオーストラリアの調査結果)
日本の60代は他国と比べてSNS利用率が低いです。差分原因としては、スマホ利用率が2016年時点(※1)で、「韓国91%、中国79%、日本59%」と普及率に差があることが考えられます。また、オンライン決済としてインフラ化しているWeChatはアジア圏の60代の普及率が高いことも注目できます。
何人か海外の外国人の友人に、どのようにSNSアプリを使用しているか聞いてみました。
韓国在住で自営業をしている韓国人の友人は、カカオトークを韓国内では用いているとのことでした。プライベートでもビジネスでも両方に用いているとのことで、理由は、メッセージの伝達が早く、相手からのレスポンスも早いからでした。また、ビジネス利用においてもスマートフォンからカカオトークで簡単に使用できるため、とても便利とのことでした。SNSではドキュメントの送信や販売等はしていないとのことでしたが、SNSを活用したビジネスは、韓国でも拡大している状況とのことです。
日本在住の中国人の友人は、中国とのやりとりは、WeChatを使用し、主にビジネスではコミュニケーションで用いているとのこと、ドキュメントの送信などはしないとのことでした。
ドイツで働いているハンガリーの友人とは、WhatsAppで連絡を取り合っていましたが、ドイツでも大きく利用されているとのことでした。
SNSの拡大で、「インフルエンサーマーケティング」というマーケティング手法も台頭してきました。スポーツ選手、モデル、タレント等の有名人や専門家等の著名人、読者モデルやカリスマ系のプロフェッショナルな人々が自身のアカウントでフォロワーを多く集めていることから、市場に影響力があるということでインフルエンサーマーケティングと呼ばれています。
インフルエンサー の大きな影響力を利用して、商品・サービスの広告宣伝を行うものです。具体的には、インフルエンサーが商品やサービスを利用する動画や画像を、商品やサービスを説明するURLとともにSNSに投稿し、投稿を閲覧したフォロワーを掲載するURLへ誘導して販売につなげていくというものです。
海外でのインフルエンサーマーケティングの規模は以下のグラフで示す通りです。 《出典:mediakix》
世界的に、インフルエンサーマーケティングの市場規模が急成長しているのがわかります。
2018年の市場規模は3.2億ドルから6.3憶ドルと推計されています。
ここでいくつかのSNSメッセンジャーアプリの紹介をします。
1. WhatsApp
アメリカのWhatsApp Inc.が運営会社となっています。Facebookが2014年2月に同社を買収しているので、Facebook傘下になっています。2019年4月時点での全世界の利用者数は、16億人を突破しています。
日本で主流になっているLINEと機能が似ており、同時にメッセージの交換ができ、WhatsAppの機能を用いて、音声通話もできるスマートフォン向けのメッセンジャーアプリです。スマートフォンのアドレス帳に登録されている電話番号をアカウントに活用していて、グループ、個人間の通信に利用可能です。欧米での利用が非常に多いです。30か国語以上の言語に対応しているアプリケーションです。
2. カカオトーク
カカオ社という韓国の企業が運営しているスマートフォン向けのメッセンジャーアプリです。機能としては、テキストメッセージ、音声通話、動画や写真の共有などができます。参加人数が無制限のグループチャット機能やスタンプの送信機能なども活用できます。カカオトークの特徴は、参加人数が無制限というグループチャットの機能です。因みに日本での利用者が多いLINEは、最大で500人です。
韓国でのカカオトークの利用者数は、2019年3月時点で、4380万人、世界的には、5020万人です。
3. WeChat
WeChatは、中国の大手IT企業であるテンセントがリリースしているメッセンジャーアプリです。機能は、LINEやカカオトークと同じような機能があり、テキスト、音声、動画、写真などのデータが扱えます。WeChatの利用者数は、2019年3月時点で、全世界で10億9800万人になっています。
4. LINE
日本でおなじみのメッセンジャーアプリで、LINE株式が運営しています。
親会社は、NAVERという韓国最大のインターネットサービス会社です。
LINEの日本でのユーザー数は、2019年4月時点で8000万人。台湾、タイ、インドネシアの海外利用者数との合計は、1億6400万人です。
幅広いユーザー層に使用されております。
ネットの専門家ではないので、専門的な内容にはなっていませんが、今回、海外とのコミュニケーションのやり取りがきっかけで、記事にしてみました。海外とのコミュニケーションやビジネスの展開で、メール以外に、その国ごとに主流に用いられているアプリケーションが違うため、何が便利か吟味していく必要があります。これからも新しいアプリケーションが開発されて市場にリリースされていくと思いますが、円滑なコミュニケーションを図るためにも、その国で現在、何が主流かをリサーチしてアップデートしていきながら、対応していくことが大切ですね。
宮川公一(みやかわこういち)
東京都出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
現在、ケアウェル安心株式会社取締役として介護サービス経営全般管掌。公益社団法人日本認知症グループホーム協会理事。
2011年4月中小企業診断士登録。東京協会中央支部国際部。介護福祉士、事業再生士補、介護福祉経営士1級、医療経営士3級。健康経営エキスパートアドバイザー、日本経営診断学会員。