グローバル・ウインド「セミナーレポート 日本酒海外展開 今昔物語」(2018年10月)
Global Wind (グローバル・ウインド)
2018年9月11日
中央支部国際部 渡邉大輔
2018年9月8日「日本酒海外展開 今昔物語」、このセミナーの開催が決定してからワクワクしておりました。今回の講師は、京都で日本酒「月の桂」を醸造する株式会社増田德兵衞商店の第14代蔵元、増田德兵衞社長。酒は嗜む程度の私にとって、全く馴染みのない名前でしたが、調べてみるととても興味を惹かれる企業でした。創業1675年という超老舗で、今ではルイヴィトン、カルティエ、中田英寿といった、数々の有名ブランド・有名人が訪れる様な酒蔵、どの様なセミナーになったか今回はレポートさせて頂きます。
1.格好良くなければ売れない!
今回のセミナーは申込総数73名、当日出席者67名の大盛況、皆さまの期待の高さがうかがえます。山崎国際部副部長の司会、西原副支部長の挨拶でセミナーが始まりました。
そして、増田德兵衞社長のご登壇、第一印象は「格好良い!」。聞くところによると、ご本人も「格好良くなければ売れない」というポリシーをお持ちの様で、その言葉通り髭とスーツと蝶ネクタイが良く似合う素敵な紳士でした。プレゼンテーションも落ち着いた語り口ながらユーモアもあり、自然と話に惹き込まれていきました。
2.伝統の承継と新しいものへの挑戦
若者の酒離れもあり、清酒の市場は低下傾向にあること、海外でも多くの国で日本酒をつくっているところがあること、国菌と呼ばれる国が指定した菌で醸されている等、日本酒に詳しくない私でも多くの知識を吸収できました。また、先々代、先代社長からの教えやご自身が社訓の様に残されている「社長の小言」を開示頂き、永く続く企業の秘訣を伺う事ができました。海外展開に関しては、言葉の壁に苦労しているといったお話を伺うことができました。
なかでも印象に残ったのは、ロゴマークのお話です。莫大な費用をかけて北川一成氏にデザインを依頼し、江戸時代からある「合」のマークに丸みのある屋根や月世界の絵を融合させて新たなマークを作り出したとのこと。伝統を承継しながら常に新しいものを作り出している、そんなところにこの企業が「格好良さ」を出している理由があるのではないかと感じました。
3.ミス日本酒
今回のセミナーにはミス日本酒準グランプリの堀雅代様にもご来場頂きました。「ミス日本酒」とは各省庁のお墨付きで、日本酒と日本文化を国内外に発信するために選ばれたアンバサダーで、増田德兵衞社長がその顧問を担当されています。なんと年間400件ものお仕事をこなされているそうです。
華やかな振袖の似合う外見もさることながら、所作の一つ一つが綺麗で、本当に「美しい」の一言でした。そしてまるでアナウンサーの様によどみなくハキハキしたスピーチが印象的で、日本文化のPRを担うだけの事はあるなと感心しました。グローバル化の進む中、日本文化の価値向上は国を挙げての重要な戦略のひとつ。「ミス日本酒」は日本酒の価値を高める非常に有効なブランド戦略になっていることを肌で感じました。
4.懇親会での試飲
懇親会では増田德兵衞社長のご厚意により日本酒4種類を試飲させて頂きました。驚くほど発泡性の強いにごり酒もあれば、高い香と深い味わいの「柳酒」もあり、同じ日本酒といえどもここまでバリエーションがあるのかと驚かされました。個人的に印象に残ったのは「稼ぎ頭」というお酒です。まるでワインの様にすっきりした飲み口で、アルコールも8度程度で少な目。お酒に弱い私でもどんどんお酌が進みました。
歴史を感じるお酒もあれば、新しいタイプのお酒もありどれを飲んでも美味しい、こんなところに伝統の承継と新たな挑戦を続けるこの企業の「格好良さ」を感じ、大満足の一日となりました。