グローバル・ウインド　「外国人向け国内ツアーの添乗業務を経験して」（2017年11月）

Global Wind　（グローバル・ウインド）
「外国人向け国内ツアーの添乗業務を経験して」

国際部　清水　信行

　訪日外国人が増え続けています。最新の統計では、2017年の訪日外国人客数（推計値）が９月15日時点で2000万人を超えたとのことで（10月20日観光庁）、昨年より１ヶ月半ほど早く、2017年年間では3000万人に迫る勢いです。

　私は、地方自治体出身ということもあり、地域振興や地域の活性化のため、観光が重要な役割を担うと考え、そのため何らかの役に立つと思い５年ほど前に総合旅行業務取扱管理者という資格を取得しました。さらに通った資格学校で研修して、総合旅程管理主任者という資格も取得しました。旅行会社は、企画旅行を行う場合には、旅行者の安全と旅行の円滑な実施を確保するために旅程管理を行わなければならず、旅程管理主任者の資格を持つ添乗員が必ず１人以上同行しなければなりません。
この旅行資格学校とのご縁で、今でもちょくちょく添乗業務の連絡が来ますが、そのうち大手Ｈ社が企画する外国人向けツアー「Japan Local Tour」は興味があるので、たまに添乗業務をさせていただいています。

　実際は、今年４月から始まっているので、今までそれほど多くのツアーを経験しているわけではありませんが、主なものとしては、
○　ひたち海浜公園散策とネモフィラの丘
○　あしかがフラワーパーク・大藤まつり
○　富士芝桜と河口湖遊覧船、ほうとうの昼食
○　箱根・芦ノ湖海賊船と新富士５合目、御殿場プレミアムアウトレットでお買い物
○　山梨県もも・ぶどう狩り、ワイナリー見学
などです。ほとんど日本人向けツアーと変わらない印象です。
ツアーは、参加人数に応じて、大型・中型・マイクロバスでほぼ毎日催行されています。参加するお客様の国籍は、中国、香港とフィリピンの方が多いようです。オーストラリアや米国の方もたまにいらっしゃいます。そのため、配布する旅程のご案内などは英語と中国語になっています。車内の案内は英語です。
　私のように英語力のない者が（国際部なのに！）、このような業務ができるのか不思議に思っている方もいらっしゃるでしょう。実は、ｉｐａｄを使い遠隔で通訳サービスを行っているのです。込み入った質疑応答は、これで済ませます。

　４～５人での参加が多い、中国やフィリピンの方々は、皆仲間同士和気あいあいで旅行を楽しんでいます。生憎の天候でも、高速道路での渋滞も、気にせずおしゃべりしながら時間を過ごしています。皆さん、マナーを十分守っていただいていて、休憩時間などの時間管理に少し苦労する程度です。日本人客のツアーとあまり変わりません。自分の添乗したツアーでは、これまでトラブルなどはありませんでした。
観光地でも、日本人と同じように目的の花や景色を楽しんでいます。

＜ひたち海浜公園・ネモフィラの丘＞

＜あしかがフラワーパーク・大藤まつり＞

＜大雨の新富士５合目＞

　どんな方がツアーに参加されているのかというと、もちろん日本への旅行で滞在中の１日をこのツアーに当てたという方もいらっしゃいますが、日本にいる友人に遊びに来たので一緒にツアーに参加したとか、日本人の友人とともに参加したという方もいらっしゃいました。このような需要は、大いにありそうですね。
　ツアーの参加者とお話しして、特に印象的なのが、みなさん相当の関心と愛着を「富士山」に寄せています。今まで私が添乗すると天候の悪い日が多く、本当に申し訳ないのですが、バスの車中から、観光スポットから、「富士山はどちらの方向ですか。」「本来こちらに富士山が見えるのですよね。」といったように、曇って目には見えなくても、富士山を気にし、追いかけているのです。スカッと晴れて天候の良い日にツアーが行われ、しっかりと富士山を見ていただきたいと願うばかりです。
　また、皆さん本当にフレンドリーです。先日はフィリピンの方に、私の拙い英語のしゃべり方を真似されてしまいました。なかなかコミュニケーションがとれない中でも、積極的に話しかけてくれるので本当にうれしいです。

　これからも、できる限り添乗業務を続けて、インバウンドの現場に身を置き、外国人の動向を肌で感じていきたいと思っています。その経験が少しでも中央支部国際部のお役に立てればと思っています。

■清水　信行（シミズ　ノブユキ）　２０１５年４月中小企業診断士登録　東京都中小企業診断士協会中央支部所属　国際部
大学卒業後金属会社を経て、神奈川県庁入庁。企画部統計課、政策局総合政策課、川崎競馬組合などを歴任。行政書士、総合旅行業務取扱管理者。