グローバル・ウインド 北京勝手に観光局(2016年11月)
Global Wind (グローバル・ウインド)
北京勝手に観光局
北京は街全体が世界遺産になっていたりして、結構いろんな見どころがあるので、今月のグローバルウインドは香港編に引き続いて裏ワザ満載の北京編の勝手に観光局をお届けしたいと思います。
◆「ぜひものの裏ワザ」の天安門広場
初めて北京に旅行される方は万里の長城とともに必須の観光スポットですよね。やはり一度は見て頂きたい場所であります。
お勧めのコースとしては地下鉄2号線の前門駅で降りて南側の入口から天安門広場に突入するところから始めます。突入の前に駅の南側の前門スポットを散策するのもありではあります。前門の街並みは古い中国建築っぽい街並みの作りではありますが、再開発で一大観光スポットに作り替えられた完全な偽物です。中国らしくて、これはこれで面白いかもしれません。
天安門広場は確かにものすごい広さが感じられます。1989年の天安門事件のときにはこの広場を埋め尽くす人間が集まったことを思い出せば、ほんとうに圧倒されるような状況なんだということが理解できます。天安門広場はそういう意味でも、なんらかの問題が発生すれば、政府に反対する人々が集まりやすい場でもあります。ここでのお勧め裏ワザは広場の各所に設置されている電燈を見てみることです。ひとつひとつの電燈に360度網羅できる角度で多くの監視カメラが付帯されています。ちょっと冷たいものが背中に走るような衝撃を感じられる裏ワザではないかと思います。
◆「ぜひものの・・・」の故宮・紫禁城
天安門広場を北の端に地下通路があって、故宮の入口へつながっています。
故宮の全体を写真に収めたい場合には天安門広場からがお勧めです。地下通路をわたってしまうと近すぎて、全体は写せませんから。
故宮の裏ワザその1は100元で貸してくれる音声ガイドです。(補償金を結構払いますが出口で音声ガイドを返却する際に返ってきます)なんでお勧めかというと故宮って単にでっかい建物なんですよね。するっと通りぬけるとあんまり印象もなく15分くらいで出口に出ちゃいます。印象に残るのはラストエンペラーの映画で見た太和殿前の広場くらいです。でもガイド音声はもっと詳しく扉の飾りはいくつあるとか、日本でいう鬼瓦にあたる部分は何を意味しているかとか、なんで巨大な甕が置いてあるか、なんてことを教えてくれます。
もともと皇帝のお家なわけですが、宝物的なものは全て台湾に行っていますので、建物群がここで価値のある唯一のものです。最近時々宝物展みたいなものが開催されているのを目にしますが、北京にあるとしたら、持って行くほどの価値がないと判断されたものだろうと思います。
故宮の裏ワザその2としては、故宮の出口をでた後にあります。北側の出口の向かい側には景山公園があります。山というより小高い丘です。この丘は故宮の東側にある中南海を掘削する際に出た土砂を積み上げたものです。故宮に行かれたら、ぜひぜひついでにこの景山公園の丘に登ってみてください。
ここから見る故宮が実はサイコーなんです。故宮の建物群は精巧に南北に一直線に建てられていますが、それを上からの目線で実感できるのはここだけです。素晴らしい風景が感動ものです。
◆「ぜひもの・・・だったんだけど」万里の長城
万里の長城はこれと言った裏ワザを持ち合わせていません。m(T T)m
実はこれまでは長城からほど近い十三陵にあるゴルフ場(北京国際ゴルフ倶楽部、愛称は十三陵)で、昼食をとるという裏ワザがあったのですが、習近平さんのぜいたく禁止令の一環で中国全土のゴルフ場が次々と閉鎖されています。十三陵ゴルフも2015年に閉鎖が決まっちゃったので、この裏ワザも閉鎖です。
しかし、中国のゴルフ場も基本的には会員権で成立しているんですが、政府が閉鎖しちゃったら、この会員権も損金処理しなきゃいけなくなるようです。十三陵や上海・深センの名門ゴルフ場も閉鎖されているようです。日本企業も古くから会員権を取得している会社が多いと思われ、これもまたザ・チャイナリスクと言わざるを得ないかもしれません。
◆あいつも食えない奴だよなぁ。。。という北京グルメ
日本語だと食えない奴というのは、ずるがしこかったりする人のことを言いますが、ここでは北京の庶民には大変好まれているが、我々日本人を含む外国人からみるとちょっと食べるのに勇気がいるもの。でも、私自身が食べてみたら意外においしかったというものを取り上げてみます。勇気が必要でかつ食べてみたら至極残念だったというものは敢えて掲載しませんが、とびきり驚くべきものも結構ありますので、本稿を読んで頂けた方にいつか直接お会いした際にでもお話させていただければと思います。
☆爆肚(ばおとう)
北京以外ではあまり見かけないように思いますが、牛・羊の胃(日本の焼肉屋にあるセンマイという突起がたくさんあるやつです)を熱湯でさっとゆでて、ゴマペーストのたれをつけて食べます。しこしことした歯触りのあっさり味で、いくらでも食べられちゃいます。北京っ子たちは、アルコール度数57℃の強烈な白酒のあてに際限なく食べ続けていたりします。一般的に爆とは中国語では、爆発するような音を立てて中華鍋で炒める料理法をいうのですが、この爆肚は油は使わずに茹でたものですので、中国語を話せる方、中華料理に詳しい方にとっては実は意外なネーミングなんです。
☆驢肉(りうろう)
これもまた北京以外ではあまり見ないように思うのですが、ロバの肉です。馬肉だったら日本人も食べますが、ロバっていうのは日本ではまずないですよね。
北京では街のいたるところにロバ焼肉屋さんがあります。たいていは小さな小汚い露店であることが多く、ちょっと入りにくいという高いハードルがあります。ぼそぼそのパンにはさんでハンバーガーっぽく食べることもありますし、焼肉っぽく食べることもあるようです。
私が食べた場所は、仲良しの中国人にお願いして、一度行ってみたかった共産党中央校という高級幹部養成学校の中にある高級風レストランでした。私と一緒に相談しながらメニューを決めた友人の奥さんは若いのに極めて食通なようで、メニューの選び方でしたが、「天上龍、地上驢!(天に於いては龍、地に於いては驢馬が一番おいしいという意味)」とお勧めされて食べちゃいました。牛でもなく、馬でもなく、もちろん豚や鶏でもない、ちょっと食べたことのない肉質でした。
PM2.5だとか、経済の減速だとか、反日デモだとか悪いニュースばっかり取りあげられがちな中国ではありますが、ご出張やご旅行で訪問されることがあったらぜひ試して頂きたいと思います。