グローバル・ウインド「あなたの誕生日の仏像は?(タイ編)」(2016年6月)
Global Wind (グローバル・ウインド)
あなたの誕生日の仏像は?(タイ編)
私は10年ほど前に、タイへ青年海外協力隊として2年間派遣されていましたので、今回はタイ文化の1つをお伝えしたいと思います。
スコータイでの仏像と夕焼け
■あなたの誕生日は何曜日?
日本のほとんどの方は自分の星座、血液型、干支などは知っている人がほとんどだと思いますが、では自分が何曜日生まれなのか知っていますか?
最近では、日本でも曜日占いが言われ始めているので、知っている人がいるかもしれませんね。しかし私はタイに行くまで知りませんでした。
短期間の観光では、なかなか聞かれることは少ないと思いますが、タイを始め東南アジアでは、この何曜日生まれなのかというのは、日本人の血液型占いと同じぐらい、ほとんどの人が、自分が何曜日生まれなのか知っているようです。
もちろん、日本人の血液型占いや星座占いをよく見かけるのと同じく、曜日占いがタイでは一般的な占いの1つになっています。
タイ人とお寺に行ったり、仲良くなったりすると、何曜日生まれですか?と聞かれることがありますので、ぜひ自分が何曜日生まれなのかを調べてください。
■誕生日の曜日の調べ方
簡易的な調べ方は、下に表を使って説明します。
もちろん、excelのセルに日時を入れて、セルの表示プロパティを「aaa」にすれば分かるよと言う人もいると思いますが、それで調べて頂いても全く問題ありません。
【例】私の誕生日である1972年3月7日の場合
1) 表1で誕生年の1972年と誕生月の3月の交わる欄を見ると「3」になります。
2) 1)で出した数「3」に生まれた日「7」を足すと、3+7=「10」となります。
3) 2)で出した数「10」が何曜日なのかを表2で確認すると、「火曜日」となります。
■守護仏
タイに初めて行くと、必ずと言っていいぐらい、お寺に観光にいくと思います。
そのときに、いろいろな仏像が横一列に並んでいるのを見たことはないでしょうか?
タイのお寺の中には、7体~9体の仏像が並んでおり、特定の仏像に拝んでいる人を見かけることがあります。
この仏像こそ、自分の誕生日(曜日)の守護仏なのです。
多くの場合、向かって左の仏像からから日曜日の仏像で、最後の右端は土曜日の仏像となります。
★日曜日(曜日色:赤色)
お腹の丹田のあたりに右手を上にして両手を重ね、瞬きをせずに目を見開き、菩提樹の前に立ち見つめる日曜日の守護仏です。
タイ語で「プラプッタループ・パーンタワーイネー(ト)」といいます。
★月曜日(曜日色:黄色)
右腕は胸の辺りで右の手のひらを外側に向け、左腕は真下におろして立っている月曜日の守護仏です。
タイ語で「プラプッタループ・ハーム・ヤーティ」といいます。
ただし、お寺や場所によっては、「プラプッタループ・ハーム・サムトーン」といいます。
★火曜日(曜日色:桃色)
枕を下に、右腕を腕枕として、右手で耳のあたりに乗せ頭を支えながら、左腕を左腰あたりまで真っ直ぐ伸ばして、目を軽く閉じ、両腕をそろえて横になっている寝釈迦像で、火曜日の守護仏です。
タイ語で「プラプッタループ・パーンサイヤート」といいます。
私の曜日でもあり、寝ている仏像はこれだけなので、わかりやすくて個人的には火曜日で良かったと思っています。
★水曜日「昼」(曜日色:緑色)
お坊様が托鉢で早朝歩く姿と同じように、両手でお布施の鉢を胸の前に抱え、足をまっすぐ揃えて立っている水曜日(昼)の守護仏です。
タイ語で「プラプッタループ・パーンウムバート」といいます。
★水曜日「夜:おおよそ18時以降」(曜日色:黒)
石の上に座り脚は両足とも下げ、左手は左足の上に置き右手は右足の上にてのひらを外側に向けた(品物を受けると言う意味がある)座像。その下には両手で水を献上している象(パレーライ)と,両手で蜂の巣を献上している猿の姿がある
タイ語で「プラ・プッタループ・パーンパレーライ」といいます。
★木曜日(曜日色:オレンジ色)
その姿は左手を下にして手のひらを組み、右足を上に胡坐をかいて瞑想している坐像です。
タイ語で「プラ・プッタループ・パーンサマーティ」といいます。
★金曜日(曜日色:青色)
その姿は右手を上にして両手を胸の上で交差し、仏法と伝道について瞑想する立像です。
タイ語で「プラプッタループ・パーンラムプン」といいます。
★土曜日(曜日色:紫色)
その姿は右手のひらを上に体の前で手を重ね、背後にいる7本頭の蛇・ナーガに保護されて瞑想している坐像です。
タイ語で「プラ・プッタループ・パンナークプロット」といいます。
★毎日(曜日色:金色)
その姿は右手は右足の上に、左手は禅を組むように自然に座位した座像です。
タイ語で「プラ・プッタループ・パーンマーラウィシャイ」といいます。
ワット・プラ・シー・ラタナ・マハタートの本堂に安置されている黄金の仏像。
タイで最も美しいと言われている仏像です。正確にはわかりませんが、これもこの全曜日の一つだと思います。
バラモン教などの影響を受けている場合には、水曜の夜、毎日の計9体の場合もあります。一方で、その2体を抜いた7体や毎日を除いた8体のこともあります。
曜日毎に色が決まっているので、小学校によってはその曜日の色を着てくるようにいうところもあります。しかし、曜日の色を着ているということだけではなく、特別な日(たとえば、国王、女王の誕生日など)は、国王の色、王女様の色、その他にも県の色など、様々な意味を持っているようです。
記憶にあるところだと、タイのデモで、黄色シャツと赤色シャツを着ていましたね。これは、タクシン元首相派ならば赤シャツ、反タクシン派ならば黄シャツでした。
私見になりますが、タイでは、このような守護仏がいますが、日本も同じように、曼荼羅として、千手観世音菩薩、虚空蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、勢至菩薩、大日如来、不動明王、阿弥陀如来がいます。おそらくルーツは同じだと思われます。
ミャンマーでは、子供の名前に生まれた曜日にちなんで名前がつけられることもあるようです。
このようなことにも、伝承方法や姿、名前など異なりますが、世界との繋がりを感じることができるのではないでしょうか?
今度、今後東南アジアなどに行き、仏像をみてみたら、ぜひ自分の誕生日の仏像に祈願してみてください。
■松島 大介(まつしま だいすけ)
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科修了。観光アシスタントコンサルタント、青年海外協力隊(タイ王国・コンピュータ技術)を経て、2016年6月現在、IT関連企業の総務課勤務の企業内診断士。また、東京都中小企業診断士協会中央支部国際部部長として活動中です。
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