Global Wind (グローバル・ウインド)
『上海での初海外赴任』

小村 知史

 今年の4月より、中国(上海に)に赴任しました。今回が初めての海外赴任・生活で、当たり前ですがあらゆることが日本とは違い、半年が経った今でも戸惑うことが多々あります。中国という国は、上海だけでなく、出張で行った北京、成都等、どの街も予想以上に大都市で、どこに行っても人が多く、街中も日本より活気(騒がしい)があるように感じました。
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(自宅のある徐家汇駅周辺)

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(上海の有名な観光スポット 外滩)

 上海生活では、言葉以外特段不自由することはありませんが、日々の買い物の時、ついつい円換算(1元=約20円)してしまい、とにかく何でも高いなと感じさせられます。中国語についてはピンインと呼ばれる発音と四声があり、日本人には同じ音と思っても何かが違うと全く意味が通じず、かつ中国人の話すことが聞き取れず苦戦の日々です。
 私の会社は、日本では牛乳・ヨーグルト等を扱う食品メーカーです。赴任以来、上海を中心に中国各地での売上拡大に向けた店頭での販促活動を企画・展開しています。上海での大手流通チェーンといえば、スーパーでは家乐福(カルフール)、コンビニでは全家(ファミリーマート)などがあります。
 日本の流通チェーンはマーケティングを重視し、消費者視点から”売れる商品・売りたい商品”を選別し、陳列し、販促を展開しています。また売れない商品は棚カットなど、商品そのものに対し非常に厳しい判断をされます。
 一方、現在の中国の流通各チェーンは、コンビニを除き、”お金>商品”です。つまり、お金さえ払えば売り場棚スペースを獲得、商品展開はできます。多くの店舗で、資金力のある中国国内・世界規模の大手メーカーが棚や売り場を広く獲得しています。
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(量販店店内で特設売り場での販促を展開する中国大手メーカー)

 これは中国で展開する流通チェーンが、消費者からの視点ではなく、自社営利を優先する経営スタイルをとっているからだと考えられます。また、消費者の購入レベルがまだまだ未成熟とも言えるかもしれません。
 しかし、中国の消費者意識が日本人以上と感じるポイントは、”安全・安心”を重視するところです。過去にはメラミン入りの商品が流通するなど、中国の消費者は基本的に自国の商品を信頼していません。一方、日本商品は多くの中国人が高い評価をしています。この点は当社品を拡大させていくための大きなポイントのひとつと考えられます。
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(中国の消費者を自社工場に招待しての食育イベント)

 当社は中国での販売を始めたばかりで、まだまだ売上拡大に向けての余地はあり、どのように販促を企画し、店頭で取り組み、中国のお客様にどう伝えていくかを考えていかなければなりません。日本での経験を活かしながらも、中国に合ったやり方を実践させていくことに苦心しています。
 中国という国の大きさ・人口の多さ・消費の多様性を考慮すると、非常に魅力・将来性のある市場です。その分、ビジネス展開の難しさ、課題が多いのも事実です。このプラス・マイナス両面から、非常にやりがい・責任を感じながら仕事ができる場所です。
■小村 知史(おむら ともふみ)
大学卒業後、現在勤務する食品メーカーに入社、主に営業部門での業務に従事。中小企業診断士資格取得後、2013年8月に中央支部へ入会。本年4月より中国上海での勤務。