グローバル・ウインド バンコク・レポート2012(2012年12月)
Global Wind (グローバル・ウインド)
バンコク・レポート2012 ~最近のタイの状況について~
10月下旬に、タイ王国(以下「タイ」)の首都であるバンコクを訪問しました。今回は、最近のタイの状況やその時に感じたことを、新米中小企業診断士の視点でご紹介いたします。
1 タイ概況
タイは約6,300万の人口を有し、そのうち約1割が首都バンコクに集中していると言われています。国民の大多数が仏教徒であり、親日的な国としても知られています。
経済面では、国内総生産の約3割が製造業によるものであり、主要産業として、自動車産業、電化製品・電子機器産業が挙げられます。タイへ進出している日系企業は製造業を中心に約4,000社あると言われており、タイは日本との結び付きが強い国であることが伺えます。
2 最近の状況について
私が訪問した時期は、フットサルのワールドカップ開幕直前ということもあり、バンコク市内は一際、にぎわいを見せておりました。タイといえば、昨年に発生した大洪水を思い出す方が数多くいらっしゃると思います。現在は復旧が進み、日本からBOI(タイ投資委員会)への投資申請、認可の動向を見ると、洪水後も日本からの投資が伸びていることが伺えます。
また、2012年4月から政府による最低賃金の大幅引き上げ(約40%)が実施されています。直近2年間、失業率は1%を切る水準で推移し、労働市場における人手不足という状況下での大幅な賃上げであり、中小企業の収益及び人材確保への影響が懸念されています(ジェトロバンコク事務所(2012)「タイ概況」参照)。
このようなリスク要因は存在するものの、<親日的なお国柄>、<インフラ面での充実>や<サプライチェーンの充実>などを背景に、海外進出を考える中小企業にとって、タイは引き続き魅力的な国であると言えそうです。
(バンコク市内中心部を眺めて)
3 バンコク市内のおすすめスポット
私がバンコク市内で訪問したスポットを2つご紹介いたします。 特に、タイのローカルビジネスに関心をお持ちの方にはおすすめです。
(1)クロントゥーイ市場
市内中心部にある食品を取り扱っている市場です。野菜、果物、肉、海産物など、ありとあらゆる食品が並んでおり、中には生きた鶏を販売しているお店もありました。
市場内の通路はトラック、バイク、荷車が所狭しと行き交っており、大変にぎやかな様子でした。バンコク市内の屋台で提供される料理の食材は、こちらの市場から調達されるケースが多く、まさに首都バンコクの胃袋を支える庶民の台所といったところです。特に早朝は活気があり、バンコク市民の日常生活の一コマを垣間見る事ができます。
クロントゥーイ市場は、バンコクの中心部に位置し、地下鉄の駅(シリキット国際会議場駅)から徒歩で行くことができます。
(早朝のクロントゥーイ市場の様子)
(2)チャトゥチャック市場
バンコク市内の北部に位置する市場です。品揃えはバラエティーに富んでおり、具体的には家具、日用品、アクセサリー、骨董品、園芸、動物などが挙げられます。こちらはバンコク市が運営するチャトゥチャック・ウィークエンドマーケットと民間組織が運営するチャトゥチャック・プラザが存在します。前者はその名の通り、週末のみの営業となります。
私が訪問したのは平日だったため、後者のチャトゥチャック・プラザを訪問しました。こちらでも、数多くの店舗でタイクラフトやユニークな雑貨品などが販売されておりました。私が買い物をした雑貨店の店主に聞いたところ、観光客だけではなく、地元の小売業者も仕入にやってくるとのことでした。ユニークなお土産物を手頃な価格で探したい方にとっては、穴場のスポットかもしれません。
チャトゥチャック市場は、地下鉄の駅(ガンペーン・ペット駅)または高架鉄道の駅(モーチット駅)から徒歩で行くことができ、バンコク市内中心部からのアクセスは良好です。
(チャトゥチャック・プラザの様子)
4 おわりに
自分にとって、今回が4度目のタイ訪問でした。訪問するたびに、新たな顔を見せてくれる「天使の都」の魅力にすっかり取りつかれております。
昨今、少子高齢化に伴う国内市場の縮小、円高などを背景に、中小企業の海外展開が注目されており、タイをはじめとしたアジア諸国への海外展開は増加しています。海外展開は、製造コストの削減や販路の拡大など、企業の経営課題を解決する手段として、位置づけられます。その前提には、まずはその国を好きになって、相手の文化に対する敬意を示すことが、とても大切であると感じています。
国際派中小企業診断士を目標とする自分にとっても、その点は常に胆に銘じておきたいと思います。
2015年のASEAN経済共同体(AEC)の実現を控え、タイは今後もASEANの中核国として、重要な役割を担うことが期待されています。タイの動向について、今後も注目していきたいと思います。
(ワット・アルンを眺めて)