2019年、2020年は、相続法改正が順々に施行されて、約40年ぶりの民法(相続法)の改正になります!
 配偶者居住権や長男の嫁さんが親の介護をした場合の金銭請求の制度、自筆証書遺言の方式緩和、遺言書の預かりサービスの開始など、結構大きな改革となっています。

 相続は、誰にでも起こりうることで、経営者の方にも無関係ではありません。

 今日は改正の一つ、遺留分についての改正を取り上げます!!

「遺留分が金銭債権化、その背景には事業承継の問題が要因」

 中小企業の後継者問題について、2025年問題として取り上げられています。
これは、中小企業の廃業が急増することにより、2025年頃までに累計で約650万人の雇用、そして約22兆円のGDPが失われる可能性があるという問題です。

 この要因の一つは、後継者が見つかっておらず、経営者の高齢化により事業の継続が難しく、廃業を選択することが言われています。

 そうなってくると、後継者が決まっている企業に関しては、後継者にスムーズに事業及び事業用資産や株式を承継することが重要になってきます。
 ここで、実は遺留分が問題になっていました。

 少し脱線しますが、遺留分とは何かについて、
 遺留分とは、「遺言などで相続する人を決めていても、相続人が最低限もらえる財産の割合」になります。

 これが、事業承継の支障となっているという指摘があったからというのが改正の背景です。ちゃんと、法務省のページにもそのように書いてます。

 遺留分制度の見直し
 http://www.moj.go.jp/content/001263488.pdf

 今まで、何が問題として起きていたかというと、もらえなかった相続人から「遺留分」が請求された場合には、財産が共有化してしまったことが起こっていました。

 会社を継ぐ後継者Aに、遺言で株式や事業用資産について相続させる、そこへもらえなかった相続人Bから遺留分を請求される。

 そうすると、株式も事業用資産も共有になってしまう。
 共有になると、全員の合意が得られるまで、処分などができなくなる。
 株式の議決権行使にも支障をきたす可能性がある。

 これにより経営外の問題である相続のトラブルで、後継者の会社経営がうまく行かなくなってしまう。

 このようなトラブルを防ぐために、遺留分を請求された場合には、金銭で支払うと改正し、共有化を防ぐようになりました。

 良い面、悪い面ありますが、個人的には良かった改正だと思っています。

 ただ、忘れてはいけないこととして、遺留分はあくまで、遺言を作っている方の話ということです。

 遺言を作っていなければ、相続人全員で遺産分割協議(話し合い)が必要で、かつ法定相続分の権利があります。

 もう一度いいます。
 遺言を作っていなければ、相続人全員で遺産分割協議(話し合い)が必要です。

 遺産分割協議になると、会社を継ぐ相続人への負荷はとても大きくなります。
 他の相続人に対して、「私の相続させてほしい」とお願いしなければならなくなります。

 会社経営とは関係のないところですごく負荷がかかってしまいます。

 そうならないために、経営者は後継者が引き継ぎやすい環境を作ってあげないと行けないと思います。

 その一つが遺言という道具になります。

略歴
 友田純平
 司法書士・中小企業診断士

 相続対策、認知症対にチカラを入れている。