八木 田鶴子

 
1. 最近の支援事例
 最近、筆者の業務の中で、ホームページ(以下、HPと略す)のリニューアルに関する支援が多くなっている。ますます厳しくなる一方の経営環境のなか、中小企業では営業人材が限られており、HPによる販売促進効果を高めようというニーズが強くなっているのだ。
 参考までに、A社(”B To B”の脱臭専門会社)の事例を下記グラフにて示す。HPリニューアル後、それまで「0」だったHPへのアクセス数が急速に伸び、問い合わせや見積り依頼も増加した。見積り率(見積もりページ訪問数/訪問数)は、半年あまりで18%ぐらいまで伸びている。今後、アクセス数が増えてくれば、受注件数もさらに増加すると期待している。
A社のHPリニューアル効果
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※流入数はHPへのアクセス件数
※訪問数は、アクセス数―直帰数(一度はアクセスするが、すぐに出て行ってしまう件数)
※見積もり数は、見積りペーシまで訪問された件数
2. Webマーケティングのポイント
 Webマーケティングの成功には、自社の事業や製品の訴求点を明確にすること、効果的な検索キーワードの調査やSEO対策、アクセスログの解析を実施して改善、頻度の高い更新、顧客との情報交流、ユーザーニーズの探索、他社サイトの研究などが必要である。
 Webマーケティングと一口にいっても、企業の事業内容によってそれぞれ方法は異なる。自社HPによる企業告知、商品・サービスの告知、電子商取引による商品販売、顧客との継続的な双方向の情報交換、一般消費者参加型のイベント、他社サイトへの出店、検索サイトなどへのバナー広告掲載、プレスリリースなどさまざまある。自社の事業内容に合わせて使いこなせば、効率的・効果的なマーケティングの実施ができる。
 たとえば、マーケティング戦略の第一歩は、ターゲットを定め、そのターゲットのニーズを探ることから始まる。そのためにさまざまな手法によりマーケティングリサーチを行う。アンケート実施の場合、Webサイトを活用して実施すれば、低いコストで多くのアンケートを集めることができる。
 また、販売促進のためのキャンペーンでも、広い範囲で、ターゲットに合わせたキャンペーンが低コストで実施できる。自社の認知度向上、ブランドの浸透、顧客ロイヤルティの向上などにつながる。
3. 自社HPの簡単作成ツール
 最近では、初めての企業訪問や企業取引、商品購入の際など、まずはHPで相手企業のことを調べ、商品探索をしてから行動することが一般的になってきた。したがって、自社HPを持たない企業は、最初から取引の対象外となってしまうこともありうる。
 HPをまだ持っていない企業は、まずHPの構築が必要である。無料で、説明どおりに操作すれば自分で簡単にHPが作成できるツールもある。
①「みんなのビジネスオンライン」 http://www.minbiz.jp/about
GoogleとKDDI㈱などのパートナー企業、団体が提供している。HP作成支援サービスにより、簡単(約15分と説明されている)に、自社サイトを作成できる。デザインも100種類用意され、Eコマースにも対応できる。
費用は、ドメインやサーバー利用を含み1年間は無料である。2年目以降は¥1,470/月(.jpの場合)である。
②「お店のミカタ」 http://omisenomikata.jp/
パソコンや携帯のHP無料作成サイトである。テキストと写真があれば、専用の管理画面に沿って進むだけで簡単(約10分と説明されている)にできる。クーポン•日記•地図などの機能も充実している。
㈱リクルートが運営しており、HPの情報は街の情報サイトである「街のお店情報」に無料で掲載される。
すでにメインのHPを持っている場合には、サブHPとしてご利用でき、サブページを持つことによりお店の集客力は向上する。
4. ソーシャル・メディアを活用する
 最近、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やソーシャル・メディアという言葉を聞く機会が増えた。Mixi(ミクシィ)、twitter(ツィッター)、facebook(フェイスブック)などが代表的なものである。
 twitterやfacebookなどで行われる双方向の会話が、単なるコミュニティを超え、メディアとしての役割を持ち始めた。こうしたソーシャル・メディア媒体の特徴は、ユーザー同士が情報を交換し、共感し、共感によって行動していくことにある。
 ソーシャル・メディアの特徴をいかし、上手な活用をし、また、自社HPに連動させて、「顧客参加型」のWebマーケティングを展開する企業が多くなっている。
 総務省の平成23年通信利用動向調査によれば、企業におけるソーシャルメディアサービス一部でも活用していると回答した企業の割合はまだ12.4%である。資本金規模5億円以上の企業では20%の活用度であるが、1億円未満では、9%~11%程度である。
 いち早く取り入れ活用することで競争優位に立てる。
ソーシャル・メディアのビジネス活用
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資料:八木 田鶴子編著「小売業・サービス業の経営課題と未来戦略~環境変化を乗り越える成長企業」同友館
5. WEBマーケティングで未来経営戦略を!
 IT化の進展、インターネットやモバイルの普及、ソーシャル化の流れなど、最近では”クラウドコンピューティング”という新しいサービスも出てきているように、世の中の変化は速い。こうした動向を的確に捉え、自社の事業展開に有効活用していかなければ、競合企業に遅れをとり、負けてしまう可能性もある。
 Webマーケティングを上手に活用することで、競争に打ち勝ち、事業発展につながるものと考える。
 
■八木 田鶴子(やぎ たづこ)
有限会社テオリア取締役社長
中小企業診断士・ITコーディネータ・1級販売士・事業再生アドバイザー等
一般社団法人東京都中小企業診断士協会/中央支部副支部長
東京販売士協会副会長
イー・マネージ・コンサルティング協同組合常任理事 等
おもな業務内容:
経営革新支援。事業再生計画支援。
業務改善・経営企画・財務会計・IT化推進等支援。
商店街・個店等診断・経営支援。各種調査。
教育・研修。セミナー。講演。  等