鎌田 浩一

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┏┏  【事業計画書】とは?

「事業計画書」といっても、「目的」や「経営ステージ」ごとにいくつかの種類があります。

<目的別>
1)自身・自社用の道標
2)第三者の評価用資料

<ステージ別>
A)創業計画書
B)経営革新計画書
C)経営改善計画書
D)事業承継計画書
それぞれ計画書の骨格は同じですが、力点の箇所が少しずつ異なります。
直面なさっている状況・課題に合わせて、一番合う「フォーム」を使って策定なさってみることがポイントです。

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┏┏  【目的別】

ではまず、目的別に少し詳しく見てみましょう。

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1)自身・自社用の道標
事業計画書の本来的な目的です。
これから先の作戦を立てるための計画書です。

中小企業診断士の支援を受けていただきながら、以下のような手順で策定いただくとよいと思います。
・理念・ビジョンの明確化
・財務分析やSWOT分析などを通じた現状把握
・経営目標・戦略策定
・組織・マーケティング・運営・財務などの戦術策定
・アクションプランづくり
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2)第三者の評価用資料
補助金・助成金、融資獲得などの申請用としての計画書です。
ポイントは「募集要項に合致した計画書づくり」にあります。

中小企業診断士の支援を受けていただきながら、以下のような手順で策定いただくとよいと思います。
・募集要項で求められていることの正確な理解
・企業内情報の整理・分類
・自分で気づいていない、気づきにくい「強み」の発見
・自己主張的になりがちな文章を、審査側にわかりやすい表現に修正

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┏┏  【ステージ別】

では次に、ステージ別に見てみましょう。

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A)創業計画書

<たとえばこんなケース>
これから創業。
「創業補助金」に申請してみたい。

<制度概要>
・新たに創業する者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成
・新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることが目的
・補助率:2/3。補助金額の範囲:100万円以上~200万円以内
(平成28年度の場合)

<策定のポイント>
・既存技術の転用、隠れた価値の発掘を行う新たなビジネスモデルか?
・需要や雇用を創出する事業か?
・認定支援機関による支援を受けることになっているか?
・金融機関からの外部資金調達が十分見込める事業か?
・地域の需要や雇用を支える事業や海外市場の獲得を念頭とした事業か?
・日本国内において興すものか?
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B)経営革新計画書

<たとえばこんなケース>
事業は良好。
一歩前進のため「経営革新計画認定」に申請してみたい。

<制度概要>
・中小企業が取り組む「新たな事業活動」が対象
・「実現性がある数値目標」を具体的に定めた中期的な経営計画書が必要
・計画が承認されると様々な支援策の対象となる
・計画策定をとおして現状の課題や目標が明確になるなどの効果も期待
(平成28年度の場合)

<策定のポイント>
・既存事業とは異なる「新たな取組(新事業活動)」を行う計画か?
・「実現性がある数値目標」を達成できる計画か?
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C)経営改善計画書

<たとえばこんなケース>
経営が悪化。
「経営改善計画策定支援」を受けたい。

<制度概要>
・借入金の返済負担等、財務上の問題を抱える中小企業・小規模事業者が対象
・経営状況を分析し、将来の見通しを立て、全社一丸での経営改善に取り組む
・金融機関等に理解してもらい、必要な金融支援を得る
(平成28年度の場合)

<策定のポイント>
・実質ベースの財務三表(PL、BS、CF)作成
・借入金および自己資本の状況整理
・窮境・悪化要因整理
・経営改善に向けた具体策策定
・経営目標数値計画の策定
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D)事業承継計画書

<たとえばこんなケース>
そろそろ後継者への事業承継が必要になってきた。

<策定のポイント>
・経営理念、事業の中長期目標の明確化
・事業承継を円滑に行うための対策・実施時期の検討
・関係者の理解整理
・後継者教育検討
・株式・財産の分配整理
・M&Aの検討

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┏┏  【さいごに】

創業・起業、経営革新、経営改善、事業承継など、さまざまな課題を持つ中小企業の皆様をご支援させていただいている中、「事業計画書」を策定なさっていない事業者が意外に多く見受けられます。

あらゆる経営上の課題解決に向けて、「事業計画書」を作ってみることはとても意義のあることです。

事業計画書の「フォーム」を使って、現状や想いの「整理」がしやすくなるからです。

“そうは言っても面倒くさそう”、“なかなか一人では着手しづらい”という経営者の皆様がいらっしゃいましたら、ぜひ、中小企業診断士の支援をご活用なさってみてください。

■鎌田 浩一(かまた ひろかず)
東京都中小企業診断士協会中央支部 副支部長
ITコーディネータ
ITストラテジスト