質問
社員が楽しく働ける環境づくりのための考え方はありますか?

回答
ワーカホリック、ワークエンゲージメント、なんとなく聞いたことがある言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
また、それらのキーワードと、やりがいやモチベーションとの関係性を解説させていただきます。

〇ワーカホリック

英語では「I have to work」になります。
端的表すと「仕事中毒」となります。
仕事をするという意味では、望ましい姿かもしれませんが、仕事をしていないと落ち着きがなくなります。
仕事に依存をし過ぎている状況です。
仕事をしていないと落ち着きません。
「中毒」なので、既に一定の度を超しているということです。

その中でも、怖いのは燃え尽き症候群です。

これを患うと、ある日突然身の回りのあらゆる物事への興味や意欲が失われてしまい、仕事だではなく私生活にも非常に重大な支障をきたします。

また、精神だけではなく、心身にもその症状が出てくることがあります。
【精神に現れる症状】
・自律神経失調症:交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうことで、動悸や倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。
・強迫性障害:今まで対応できていた「小さな不安」が「大きな不安」になってしまいます。その不安を解消するために他者から見ると意味がない行為を過剰と思われるくらいに繰り返し行う症状が現れます。
・うつ病・抑うつ:個人のレベルで治すことは非常に難しいです。気持ちが落ち込み、体調(身体)がだるくなり、起き上がることすら困難になります。専門医の受診が必要です。

【身体に現れる症状】
・めまい:ワーカホリックによって引き起こされる代表的な症状といっても過言はありません。
・頭痛:頭部の血管や神経に大きな負荷かかることで、引き起こされます。

〇ワークエンゲージメント

自ら進んで仕事を行い、楽しむことを知っています。

ここがワーカホリックとの大きな違いです。
こちらは「I want to wark」となります。

下記の3つの特徴から構成されます。
・活力:仕事への熱量が高く、心理的な回復力が高く、仕事への努力や困難な問題や課題にも積極的に取組みます
・熱意:仕事にやりがいを感じ、積極的に取り組みます。
・没頭:積極的に仕事に取り組むことで幸せを感じたり、時間が早く進むような感覚になります

ワークエンゲージメントを高めるための施策は下記が挙げられます。
・周囲からのサポート
・仕事に対する裁量権を明確にして与える
・結果へのフィードバック
・ミッションの一貫性や多様性
・傾聴を通じて、コーチングを行う
・自己効力感を高める(否定をしない、よいところを褒める、承認するなど)

経営者の皆様からの視点ではどちらが良い状態でしょうか。
やはり自ら仕事を楽しむ姿勢が良いのではないと思われます。
ワークエンゲージメントを高く、働きがいがあることは生産効率も上がります。
それだけではなく、従業員の定着や離職防止に繋がります。

他社の好事例なども踏まえて、自社に合った方策の検討を行ってください。
できるところから無理なく始めることをお勧めいたします。

略歴

大嶋 亨一 (おおしまきょういち)
IT企業にて、採用、研修業務、労働環境整備など幅広い分野に従事をした。2022年独立開業。
中小企業診断士、社会保険労務士、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を活用し、企業や従業員に対して、最適かつ包括的な支援を行っている。