国際部 藤田泰宏

私は2023年度JICAの課題別研修事業「企業経営強化支援(ビジネス開発サービス/アドバンスト・カイゼン)」に参加し、本研修のプロポーザル、予算作成から契約の履行・精算業務に関与しました。
コロナ禍の中では、全てのJICAの研修は海外とオンライン行っていましたが、2023年度よりオンラインと来日のハイブリッド研修が導入され、今回もアフリカ諸国よりオンラインが合計10カ国・10名、訪日が合計9カ国・9名の方に研修を行いました。

概要は以下の通りです。

写真1 <講義の様子>image001

1.研修の概要

■主催者:JICA(独立行政法人国際協力機構)
■受託者:(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ(WBA)
■研修期間:
オンライン研修: 2024年1月22日(月)~1月29日(月)、 8日間
訪日研修: 2024年2月5日(月)~2月16日(金)、 12日
■参加国:
オンライン研修:カメルーン、エチオピア、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、
タンザニア、チュニジア、セネガル、ザンビア、 合計10カ国・10名
訪日研修:カメルーン、エチオピア、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、
タンザニア、セネガル、ザンビア、 合計9カ国・9名

■研修対象組織:
中央/地方政府、公的機関、商工会議所や産業団体など中小企業支援組織

■研修対象者:
カイゼンなどの各種支援サービスの提供や利用促進、サービスの品質管理・向上に関する実務担当者

■研修目標:
中小企業を支援する立場にいる研修員が、カイゼンを含む日本の中小企業向けビジネス開発サービス(BDS) の仕組みや手法について学び、自国の企業競争力強化のためのアクションプランを作成する。

2.研修の進め方および内容

・オンライン研修ではZoomによるライブ講義が基本であり、使用言語は英語、WBAの業務総括者が司会進行・ファシリテーションを行い、藤田は業務総括者の補佐役として参加。
・講義中に使用した教材は、JICA-VAN(JICA-VirtualAcademy Network/JICAが設置したオンライン学習のシステム)に格納、オンデマンドで視聴できるようにし、自習期間を設け予習/復習ができるようにした。
・日本の中小企業支援政策の概要、BDS(ビジネス・ディベロップメント・サービス) 市場、アプローチの理解、BDS 提供者の支援スキル・知識、品質管理・生産性向上や経営・マーケティング支援、コンサルテーションスキル、若手起業家のスタートアップ支援、レイアウト、TQM(総合的品質管理)、TPS(トヨタ生産方式)等の応用的なカイゼンの理解等に係る講義は、WBA社員、大学教授、支援機関担当者等の講師が分担して行った。
・質問について講義中はチャットで、質疑応答の時間ではライブで応答した。
・訪日研修では、講義だけでなく、講義で触れた機関や生産現場等への視察も行った。
・講義後にはグループ別ワークショップ(討議)の場を設けた。日々の講義後に2グループに分け、日本人講師がファシリテーターとなって当日の講義について研修員に討議させ、討議内容を全員に報告した。
・知識の習得に止まらず研修成果として各国の観光マーケティング戦略およびそれに従うアクションプランの策定を行い、プレゼンの場を設けた。プレゼン資料の作成等について日本人講師が予め個別指導をおこなった。
・研修最終日には、全体を通して学んだこと、気づいたことなどについて、研修員と討議の時間を設けた。

写真2 <視察の様子>

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3.苦労した点

・海外研修員とのインターネットの接続:
時々インターネット回線が不安定となりZoomによるオンライン講義の途中で切断され
ることがしばしばおこるので、WhatsAppや電話でも連絡と取れるようにした。
・全体を通して、各国を同時にオンラインで繋ぎ、統一した行動を取ることは素晴らしいことであるが、テクニカルのちょっとしたミスも命取りになるので、準備はテクニカル担当を巻き込んで間違いなく準備する必要がある。

4.所感

コロナ禍の影響で多くの活動がICT化し、世界的にDXが加速したこともあり、今後もハイブリッドでの研修が定着するものと思われます。今回はアフリカ諸国の研修員が参加しましたが、講義後も質問が絶えず積極的に学ぼうとする姿勢を肌で感じることができました。多くの研修員は海外留学の経験もあり、英語も堪能で、とても優秀な方達です。逆に私は彼らの取り組み姿勢に多いに刺激を受けました。
また、研修員は皆初対面にもかかわらず研修期間中にはすっかり打ち解けお互いに情報交換し、すっかり仲良くなっていました。研修後もアフリカグループとして協働し独自の発展を模索していくのではないかと感じました。
JICAの研修は、これまで日本が途上国に先進技術を教えるという立場でしたが、近年は途上国の技術レベルが上がっています。JICAとしても最近では研修内容をともに学び、共創することに軸足を移しつつあり、そのことを実感できた研修でした。

自己紹介

■藤田 泰宏(ふじた やすひろ)
2014年 中小企業診断士 登録
FMC フジタ・マネジメント・コンサルティング 代表
(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ 理事 シニア・コンサルタント
(独)中小企業基盤整備機構 関東本部 企業支援部 アドバイザー

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