2025年には70歳以上の経営者が245万人となり、約半数の127万人は後継者が未定の大廃業時代が迫っています。国の方針として、事業承継相手のいない会社が増えてきたことに対して、M&Aの専門家費用などを出す事業承継補助金などで第三者への承継なども含めて事業の継承を進めようとしています。

 

〇PMIの定義

PMIとは、中小企業がM&Aの目的の実現や、効果を最大化するための統合作業(Post Merger Integration)のことを言います。

ガイドラインの中では、「M&A成立後の一定期間内に行う経営統合作業をいう(狭義のPMI)。本ガイドラインでは、上記のPMIの前後の期間における取組の重要性を鑑み、狭義のPMIの「前(プレ)」、つまりM&A成立前の取組と、狭義のPMIの「後(ポスト)」の継続的な取組を含めたプロセス全般(PMIプロセス)を、より広義の概念として(中小)PMIと定義している。」と定義しています。

その中で特に事業を引き継ぐ譲受側が実施することが望ましい取組を整理して、ガイドラインとしてまとめたものが「中小PMIガイドライン」となります。

 

〇PMIの必要性
221103_fig01<参考:経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220317005/20220317005.html

上記のように多くのM&Aには心配ごとがあり、また、M&Aの実施後の満足度にもズレが出てきます。M&Aの効果を感じている譲受側ほど、早期からPMIを意識した取り組みをや検討をしているため早い段階から検討を開始する取り組みが望ましいのです。

契約締結前のプレPMIから取り組んでいき、その後、1年程度で集中的にPMIの推進体制を構築して、取り組みを実行し、その後も定期的に、ポストPMIとして、継続的なPDCAを実行しくことでM&Aの目的の実現と効果の最大化を目指していきます。

〇まとめ
中小PMIガイドラインの中には、プレPMI、PMI、ポストPMIの取組のポイントとともに、取組例や失敗例などの具体的な記載もされており、その中には、第三者承継のために出てくる取組などもありますが、親子承継や親族承継など中小企業の事業承継についても示唆に富んだ内容となっています。

 

西村 公志
アップスマート株式会社代表取締役
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 地域連携支援部長(理事)
一般社団法人IT顧問化協会 副理事

2022年1月に出版された「ファミリービジネス白書【2022年版】: 未曾有の環境変化と危機突破力」など含めて、2015年版からファミリービジネス白書企画編集委員会のメンバーとして活動。中小企業の経営管理、バックオフィス業務の改善やスモールM&Aなどで活躍している。