皆様は、「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
 この話をすると「お台場にあるやつだよね」と、お返事をいただくことが多いです。
 まだまだ日本において「ダイバーシティ」は、経営の中に浸透していないのが現状です。しかし、今の日本の環境下だからこそダイバーシティの考え方は、重要です。

〇ダイバーシティ経営とは
 ダイバーシティ経営については、経済産業省で次のように述べられています。
 ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。
 「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。「能力」には、多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性なども含みます。「イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とは、組織内の個々の人材がその特性を活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営のことです。 
(引用:経済産業省)
 
〇ダイバーシティ経営の必要性
 中小企業において、優秀な労働力の確保は、大きな課題となります。近年日本では少子高齢化が更に進み、今後も15~64歳までの生産年齢人口が減少することが予測されています。

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(出所)2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を含む)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

 従来の日本人の男性がフルタイムで勤務することを前提とした勤務形態のみで現在と同じ労働力を確保することが厳しくなると推測されます。男性以外の女性や外国人等にも優秀な人材はたくさんいます。その方が活躍できる環境を企業として整備することが必要となります。

〇ダイバーシティ経営の導入
 ダイバーシティ経営の基本は、多様な属性(性別、年齢、障がい、国籍、価値観等)で判断せず、個を尊重し、認め合い、強みを活かすことです。
 そのために以下の点が重要となります。
 ①多様な働き方が出来る環境を整備する。
  例)テレワークの導入、短時間勤務等
 ②経営者自らが先導してダイバーシティ経営に取り組む
  例)経営者自ら方針について報告する等
 ③専任の担当者を配置して導入を図る。

〇まとめ
 ダイバーシティ経営を推進し、多様な人材を確保することで、企業価値の向上を図れます。多様な人材の多様な目線は、マーケティング等でも必要となります。皆様もダイバーシティ経営について一度考えてみてはいかがでしょうか。

以上

●略歴:
高久 雅樹
経済産業大臣登録 中小企業診断士
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 中央支部 研究会部 副部長
一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構 一般会員
【経歴】
法政大学現代福祉学部卒業後JASDAQ上場のコンサルタント会社の財務コンサルティング部で勤務。独立後、経営コンサルティングを中心に活動中。