専門家コラム「補助金申請書類のNGポイントとは?」(2021年6月)
昨年来、コロナショック下の給付金が引き金となったのか、補助金&助成金にも急激にスポットライトがあたり、それまであまり積極的にタッチしていなかった診断士諸兄(姉?)にも事業再構築補助金をはじめ諸々の補助金を手掛ける機会が増えつつある昨今かと存じます。(私もそうです・・・汗)
そんな皆様とともに私の知識も整理しつつ、補助金申請のNGポイントをまとめてみました。
(補助金エキスパートの先生、私はまだまだひよっこなのでお気づきの点や修正点など、ございましたら中央支部までお願いします。適宜修正します!)
さて、補助金申請では、事務局側で複数の職員や専門家の審査を経て採択の決定がなされます。
当然、審査に通りやすい書類とそうでない書類にはおのずと差が出てきます。この記事では申請書類のNGポイントについて解説いたします。
1.ヌケ・モレのある書類はNGです
事務局が一番先にみるポイントは様式にきちんと合致しているかどうか?です。
意外に思われるかもしれませんが書類として完成していないまま提出される申請書が毎回毎回、必ずかなりの数があります。チェックボックスの未チェック、記載項目の記述抜け(Wordで文字打ち・編集しているうちに消してしまった)、中には社名が入ってない、金額記載がない、確認連絡先が明記されていない・・・など。また、すべての申請書類が公開されているために、公募申請なのに交付申請書類が、交付申請なのに支給申請書類が提出されてる(郵送の場合)、必要な様式・別表が足りない、フォーマットを勝手に改変している(!)などの「問題外」なケースも・・・
とても提出前にきちんとチェックしてるとは思えないものが意外と多くあります。また、必須項目はもちろん、必須以外の項目まできちんとできうる限り埋められている書類のほうが印象は良いようです。
2.規格や外の書類はNG
最近はWEB経由での申請が増えつつありますが、紙の書類で提出する補助金もまだまだあります。
紙の申請書はそのままでは扱いづらいため事務局ではコピーやスキャンをしてから審査を進めます。その際に下記のような書類は事前に余計な手間がかかるため嫌がられます。直接、不採択の理由にはなりえませんが嫌がられていいことは一つもありません。場合によっては必要以上に厳しくチェックされたり、処理が後回しになってしまう可能性も出てきます。
・ステープラー(ホチキス)止めの書類
・「ふせん(ポストイット)」「見出しシール」がある書類
・連絡担当者名の記載の代わりに名刺が同封されている書類
・不要な資料が「念のため」大量に添付された書類
・申請書と異なるサイズの資料が混在している書類
特に「ふせん(ポストイット)」で重要なことや追記事項を書き加えるのは避けましょう。事務局内チェックでもふせん(ポストイット)が使われることが多く、混乱のもとになります。また、書類そのものではありませんが指定された提出方法は必ず守りましょう。特に締切間際の提出の際、事務局指定以外の方法はトラブルのもとになります。
3.文章そのものがわかりにくい書類
一文が長くてやたら延々と読点でつないだ記述がされているもの。難解な業界用語、専門用語、カタカナ横文字(あるいは漢字)だらけでチンプンカンプンな内容のものなど、意味が通じづらいものは審査を受ける上で非常に不利です。またその逆で記述がほぼ単語のみで一目で内容が「薄い」と感じられるものも本気度を疑われます。
なるべく短いセンテンス、平易な表現で簡潔かつ適量の記述にしましょう。要素が多い場合は箇条書きを上手に使いましょう。どうしても他の言葉で表現できない専門用語などは注釈をつけるなどの工夫も必要です。まずは「パッと読んでスッとわかる」表現を。注意深く何度も読み込まないとわからないものはNGです。
4.写真・数字・図表がない書類
「郊外店で国道〇〇号バイパスのXX付近の立地で・・・」「従来箱型の形状が一般的であった製品□□を当社独自の形状である△△に・・・」。
お分かりだと思います。一発で分かってもらえるように写真をつけましょう。
また、業績や売上推移などは「増/減」「多/少」をきちんと数字で表記しましょう。ただし、文章中の数字の羅列では理解しづらいです。小さくてもよいのでグラフや図を使ってビジュアルで表現しましょう。
また、写真、図表を入れるのであればモノクロよりカラーのほうが望ましいことは言うまでもありません。
5.資料をURLで参照させる書類
事務局のセキュリティ上、ネットワーク外部に接続できない環境や、PDF化されてリンクできない場合もあります。提出書類が全てです。書面上ですべてをキチンと伝えられるようにまとめましょう。まぁそもそも紙数制限超の「レギュレーション違反」とされてもおかしくないですから。
6.まとめ
申請書類そのものがここ数年、全体的にレベルアップしてきておりNGな申請書の割合は減ってきているようです。だからこそ、ちょっとしたヌケ・モレがあったり、扱いづらい、分かりづらい書類は逆に「悪目立ち」してしまい、採択の可能性を下げてしまいます。審査の大前提である形式的ポイントをクリアしつつ、きちんと内容を理解してもらえる表現で「わかりやすい申請書」を完成させましょう。
【略歴】
大根田 陽介(おおねだ ようすけ)
2013年診断士登録
中央支部副支部長兼経理部長
新卒後、大手印刷会社・出版社と20年余りを紙媒体業界で過ごし、IT企業を経て独立。
営業、マーケティング、財務会計をメインに企業支援を行っている。
趣味はクルマ(整備~洗車、模型製作、ミニカー収集)、PC(自作、改造)、時計修理(機械式)など、機械いじり全般。